Sapphire Radeon RX460 2GD5 Review Part.2

Review
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 既に掲載した Sapphire Radeon RX460 2GD5 の外観や特長といった製品自体のレビューの引き続き、この Part.2 では性能面にフォーカスを当てたレビュー内容とする。
 尚、本記事に於いても日本AMD株式会社より借用を受けた Sapphire Radeon RX460 2GD5 を使用している。スペシャルサンクスであります。

検証内容

 RX460 のグラフィック性能を検証するにあたり、数値としてスコアのでるベンチマークソフトを用いる事とする。
 個人的にグラフィック性能の指標となりやすい 3DMark に加え、ゲームのオフィシャルベンチマークソフトである FFXIV HEAVENSWARD Benchmark、DQX Benchmark、PSO2 キャラクタークリエイト体験版の 3 種を合わせることで実際のプレイ環境の指標にもなれば良いなと言う目的も込めている。
 尚、オーバークロックに関しては補助電源端子無しのグラフィックボードであることや、既に 10MHz と小幅ながらもオーバークロックされたモデルであることから一切触れることはしていないのでご了承を。

検証環境

 筆者の検証環境というか使用しているメインマシンの構成は大まかに次の通り。
 CPU の FX-8350 は OC してあるので、CPU だけでもフルロードするとシステム全体の消費電力が 300±5W にも達することは予めご了承を。

CPUAMD FX-8350 (OC 4.3GHz)
MemCFD W3U1600HQ-4GB x4 (XMP 1866, Total 16GB)
M/BASUS SABERTOOTH 990FX R2.0 (BIOS 2901)
GPUSapphire Radeon RX460 2GD5
PSUCorsair CMPSU-850AX (850W GOLD)
CaseCorsair Obsidian 550D
OSMicrosoft Windows10 Pro (x64, Ver.1607, Build 14393.321)

ベンチマークによる性能評価

 ここでは DirectX 各 API レベル毎の性能指標をスコアで出してくれるデファクトスタンダード的な存在 3DMark をメインとして、実プレイ環境に近いシチュエーションでスコアを出す事が出来る FFXIV, DQX, PSO2 各社オフィシャルベンチマークソフトを用いる。
 恐らくこれだけ用意すれば RX460 の性能としては既存環境や他グラフィックボードとの性能比較が行いやすいかと思われる。
 得られたデータには参考比較として同社 NITRO+ RX470 4GD5 と MSI R7 370 GAMING 4G のスコアも入れ込んでいる。RX460 自体はナンバリングこそ低いが R7 370 を置き換えるような製品でもあるからだ。ちなみに R7 370 は TDP 110W である事から、補助電源端子無しでこれを置き換えるというのは素直に凄いなと思うばかりである。

3DMark

 上述の通りデファクトスタンダード的な存在のベンチマークソフトである。
 本レビューではシステム全体の評価ではなくて、あくまでグラフィックボードの性能評価であるから Graphics Score に着目して頂ければと思う。特に Physics Score は CPU 性能であるし、Combine も CPU 性能に左右される。伴い、トータルの Score も影響を受けて上下するからである。

Ice Storm

 Ice Storm は DirectX 9.0 相当の API レベルで描写されるパートとなる。
 今現在でも MMORPG では根強く用いられるバージョンなので、用途によってはこのスコアも重要視して良いところだろう。
 ここでは R7 370 のスコアを少し超えてきている。
benchmark_3dmark_is

Cloud Gate

 Cloud Gate では DirectX 10 相当の API レベルで描写される。徐々に画質が上がってくる所だが、比例して負荷も高くなりつつあるスタート地点と言った感じだろうか。それ故に RX470 との差が倍近く開いたりと地の力が大きく影響した。R7 370 とは同等若しくは若干下の性能かなと見られた。
 筆者個人としてはあまりこの DirectX 10 を用いるようなゲームタイトルは知らないので何も気にかけていない所でもある。
benchmark_3dmark_cg

Sky Diver

 Sky Diver は DirectX 11 の中でも比較的軽い処理を用いて描写されるパートとなっているが、それなりに綺麗なグラフィックとなる。
 ここに来て RX470 との差は倍以上に開いたが、R7 370 のスコアを上回り始めた。RX460 のバス幅は 128bit、R7 370 は 256bit と、帯域が半分であるにもかかわらずである。色圧縮といった細かい技術的な向上がかなり効いてくるのかなと感じた部分だ。
benchmark_3dmark_sd

Fire Strike

 Fire Strike は DirectX 11 の機能をフルに用いたパートであるため、描画処理は重量級となる。ローエンド帯となる RX460 にはあまり適さない部分ではあると思うので参考程度に留めたい。
 R7 370 と比較する限り、それを 247 ポイント上回るスコアが出た。Sky Diver と同様にしてアーキテクチャの差が大きく響くところなのだろうと思われる。
benchmark_3dmark_fs

Time Spy

 最近追加されたこの Time Spy では DirectX 12 相当としての描写が行われるが、その実 DirectX 11.2 なのではと囁かれているちょっと良く分からないパートであり FireStrike よりも重いベンチマークだ。
 比較対象は主にミドルからハイエンド向けと思われるので、RX460 のスコアはここもまた参考程度に留めておくと良いかも知れない。
benchmark_3dmark_ts

 3DMark 全般に置いては R7 370 を置き換えるような実力を充分に持っているとハッキリ言える。比較としてスコアを載せた 4 項目中 3 項目において RX460 の方がスコアが高いからだ。これが補助電源端子無しで実現している所が本当に凄いと思う。
 ネット上で検索すると出てくるスコアで比較すると GeForce GTX 750Ti のスコアを上回りつつ GeForce GTX 1050 よりも少し下といった具合にはなってはいる物の、値段的な物と FreeSync や Fluid Motion といった付加機能分のアドバンテージがあるかなと思う。

FinalFantasy XIV HEAVENSWARD Benchmark

 同タイトルのオフィシャルベンチマークソフトとなる。DirectX 9 と 11 による 2 パターンのスコアを出してみた。
 基本的に処理の軽い DirectX 9 の方が高いスコアを示すがグラフィックの品質は下がる。DirectX 11 で綺麗に快適にと言うのはちょっと難しいのかも知れない。
 筆者は実プレイしたのはベータテストの時の少しだけなので、細かく設定を落として遊べるか否かは分からないが、出来るのであれば極力設定は落として行く方向になると思われる。
benchmark_ffxiv

ドラゴンクエスト X ベンチマーク

 こちらもまたオフィシャルベンチマークソフトとなる。
 このベンチマークはさほどグラフィック性能の比重が重い物ではないのだが、面白い事に RX470 と全く同じスコアを出す。そしてそのスコアは R7 370 よりも高い。何でだろうと考えるも、ちょっと良く分からないかなという結論に。
benchmark_dqx

PSO2 キャラクタークリエイト体験版

 同じ PSO2 オフィシャルベンチマークソフトでも今では 1 つ古いタイプとなってしまったが、R7 370 との比較もしたいので敢えてこちらをチョイスした。
 本ベンチマークはグラフィック性能に比重が高く置かれているのだが、今までは R7 370 以上、若しくは同等のスコアを出してきた RX460 もここに来て何故か R7 370 を大きく下回る結果となった。
benchmark_pso2

ベンチマーク総評

 3DMark から始まり FFXIV, DQX までは順調に R7 370 を充分に置き換えられる性能を有すると言い切れるだけのスコアを出すことが出来たが、どうも最後の PSO2 の結果だけ大きく落ち込むという謎現象に混乱気味。純粋に VRAM の差があるのか帯域の差なのか、何かかなとは思うが。
 とりあえず、全体的に見ると R7 370 比で TDP -35W、当時の実売額と比較すると半額以下で同等性能を有するという事には、ただただ驚くべき所である。Polaris アーキテクチャと 14nm FinFET が如何に凄いかと見せつけられる部分であると思う。

消費電力量

 RX460 自体の消費電力量がどんなものかと手っ取り早く見る為には FurMark を用いた。これは GPU への負荷がかなり高い為、実行時に自己責任でやれと注意書きが出る物であるから、その通りに自己責任の上で実行する必要がある。
furmark_5minutes
 実行時間はジャスト 5 分として、その時までの消費電力を観察しつつ GPU 温度もみた。
 消費電力としてはシステム全体で 160±10W で推移し、室温 24 度の環境下にて GPU 温度は 70~71 度まで上昇した。同様なテストで R7 370 は 260W まで上昇した為、ワットパフォーマンスの向上には著しい物がある。100W の差が余りにも大きい。
 3DMark といった GPU のみならず、CPU にもパワーを使う場合、Graphics Test では 160~203W の範囲で推移する物の、CPU も併用する Combine Test では 285W までの上昇を確認した。これは冒頭にも書いた通りに CPU が FX-8350 を OC した物を用いていることから、CPU 分の消費電力量がかなり多く影響しているものだと言える。
 FX-8350 は筆者宅にてもう 4 年生になるので、流石に世代差を感じるというかワットパフォーマンスはかなり悪く感じるお年頃であるので致し方無しで、来年の ZEN な Summit Ridge に期待する他ない。

付加機能に関して

Virtual Super Resolution (VSR)

 第四世代の GCN コアアーキテクチャということで、2,560x1,440 (WQHD) までの対応だった R7 370 比で特にここが違うと目に見えるところだ。
vsr
 ローエンド帯で尚かつ VRAM 2GB であっても 4K 解像度までをもサポートしてくれている事が素晴らしい。かといって実際に 4K 解像度でゲームを動作させてどこまで快適に遊べるかと言う所は未知の物ではあるが。

AMD Fluid Motion

 筆者も普段より当然のように利用している Fluid Motion だが、BlueskyFRC というフィルターを用いた利用で Mode2 も普通に利用が可能だった。
 第一世代の GCN では BlueskyFRC で強制的に Fluid Motion を有効化しなければならなかったが、第四世代の GCN では Crimson Software より極普通に Fluid Motion を ON にするだけで利用可能となる。
crimsonsoftware_afm

AMD FreeSync

 残念ながら筆者は FreeSync 対応ディスプレイを持ち合わせていない上、実使用した経験もないのだが、ベンチマークに於いて比較的フレームレートの高い描写が行われる部分ではティアリングが目立つことが多い。その為、より質の高い描写を目の当たりにしたいのであれば FreeSync 対応ディスプレイを購入した方が良いかと思われる。
 ここ最近では LG 製ディスプレイも品質が良く殆どの新製品が FreeSync 対応であるから、比較的オススメかと思われるし筆者も何れはと考えている所だ。

おわりに

 これにて一通り RX460 の性能は数値として何かと比較出来るだけのデータは出せたかなと思う。主に R7 370 との比較が多くなってしまったが、AMD 自体が置き換えるとターゲットにした物である為、個人的に気になっていた部分が色濃く出てしまったかと思われる。
 全体的に見れば R7 370 よりもピークが 100W も低く、描画処理性能は同等だが場面によっては上回る結果となった。また、ピークばかりに目をやってしまったが、筆者のシステムで IDLE 時の消費電力が 80W 台まで落ちたのは初めて見たように思える。
 RX460 は超高画質でバリバリいゲームをやるには当然向かないが、TPO に応じた PC の使い分けをしている環境ではベストチョイスになるだろう。
 例えば筆者は APU 単体よりもう少しグラフィック性能が欲しいけど、省電力性を失いたくないとも考えてもいたので、この RX460 を APU 機に載せようかなと考えている時期もあった。本レビュー執筆にあたり、得られた結果からかなり食指の動く結果になったと思う。値段も 12,000 円台からと比較的廉価帯な物であるから何れは導入したいなと考えている。
 また、同じ GPU を載せたグラフィックボードであっても補助電源端子として 6pin の付いたモデルも存在するが、ここは是非とも補助電源端子無しモデルの方を強くオススメしたい所。やはりスッキリマウント出来つつ省電力である点が最大の特徴だからだ。性能は充分であり、これ以上の贅沢は不要かと強く思うグラフィックボードである。

著者プロフィール
ぶっち

本格的に PC へ触れ始めてたのは 1990 年位から。
興味は PC 全般。OS は Windows と Linux などを嗜む。
プログラマやネットワークエンジニアを経てフリーに活動している 2 児の父な 40 代半ばのおじさんです。

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コメント

  1. お久しぶりです。

    私からしてみたらHD6870以来の外付けGPUでした。
    GPUのスペックについては、
    軽くは追ってきたものの「ここまで性能が上がっているとは」という感じに思いました。

    パソコン関係では、面白いレビューを久々に見たと思います。
    もた、機会があれば同じレビューを記載することでお合いしたいですね。

    • お久しぶりです。度々、各所でコメントを頂きましてありがとうございます。

       HD6870 以来となると、もう最高で 6 年たつことになりますね。それ以上の性能を RX460 で賄えるような感じなデータもあったので、アーキテクチャの進歩がこの Polaris10/11 で顕著であると感じさせられました。

       またどこか良いレビューサイトがあればと思うんですけど、現状では Amazon.co.jp かブログかの二択になってしまっているので、昔の Coneco.net の様な何かが出来ればなぁ… と常日頃思っております (笑

       同じ製品を購入した際にはまた何処かで読み合いみたいな感じで楽しめればと思っています。その際にはまたよろしくです。

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