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AMD の Graphics Driver である Catalyst に新バージョンが 2014/12/09 に公開された。
今までは Catalyst であったが、これが Catalyst OMEGA となる。既存の Catalyst よりも機能が増えたりパフォーマンスが改善されたり、品質の改善がなされている様だ。
本記事では AMD ブロガー勉強会にて用いられたスライドに合わせて大まかな紹介をしたい。内容に関しては AMD 社の Terry Makedon 氏、Adam Kozak 氏の説明も織り交ぜた。
尚、使用しているスライドの写真は斜めから撮影した物を真正面から見ているかのように加工しているので、ボケていたり多少見にくい部分もある。予めご了承を。
名称
新たなドライバは Catalyst OMEGA と言う名称となる。
Catalyst OMEGA とは
既存の Catalyst とは異なる箇所には 3 つの大きな項目があり、1 つは「新機能」として 20 以上の機能が搭載されている。2 つ目はパフォーマンスの改善がなされている。3 つ目は相当数の Bug fix 及び改善がなされている。
Radeon を用いたパフォーマンスでは 19%、APU 上では 29% ものパフォーマンスアップをする項目も存在する。
機能の紹介
Fluid Motion
通常、Blu-ray では秒間 24 フレームの描写を行うことで動画を再生するが、Fluid Motion を介すことで秒間 60 フレームにまで動画再生を拡張する事が出来る。フレームを増やすという事はそれだけ滑らかな再生が可能になる。
スライド中に表記されている通り「高品質な 60fps 化」「GPU 演算を用いたフレーム補完」「揺れの除去」が行われ、スムーズな再生が可能となっている。
CONTOUR REMOVAL
質が宜しくない動画であってもある程度の画質を改善する事が出来る。
1080P DETAIL ENHANCEMENT
解像度の低い動画を最大化する等して 1080P に拡大すると Detail が損なわれてしまうが、この機能を用いることでシャープさを追加したりノイズを低減させる事で画質を改善する事が可能となる。
ULTRAHD-LIKE EXPERIENCE
APU 向けの新しい機能となるが、dGPU 向けでは 4K あるいは ULTRAHD 対応も行われている。
更に「Fluid Motion」「Detail Enhancement」「Adaptive upscaling」を併用する事で 1080P の動画をあたかも 4K の動画として再生する事も可能。既存のコンテンツの多くは 1080P なので、今後 ULTRAHD 対応ディスプレイに切り替えた際にはこの機能が非常に有効的である。
これらの機能は Radeon R7 260 以降で実行可能。
FRAME PACING ENHANCEMENTS
Dual Graphics 及び CrossFire をよりスムーズな動作にする事が出来る。
通常 DG や CF で行われている事は、2 つの GPU で交互にフレーム処理を行っているが、各々の GPU に於ける処理に大きな差があると、パフォーマンスが伸びないことがある。このポイントを改善し、パフォーマンスが出るようにした。
この点に於いては DG と CF 共に、既存の Catalyst よりも Catalyst OMEGA を用いた方がパフォーマンスは格段に上がるとされている。
新機能 VIRTUAL SUPER RESOLUTION
大きな解像度を持つゲーム画面の表示領域を保ったまま、小さな画面に表示する機能となる。
この機能は Super Sampling (4K 画像を 1080P に縮小する様な事) をサポートしていないゲームであっても対応させる事が出来る。
リアルタイムストラテジーゲームなどで重要視される、一度にどの位の Detail をレンダリングするかと言う事も変更が可能だそうだ。
更にゲームに於いての例を挙げると、1080P では表示しきれないマップであっても、解像度を上げた後にこの機能でダウンスケーリングをすると、同じ 1080P であっても広大なマップを見る事が可能になる。下のスライド下部の「1920x1080 with 4K VSR」あたりが視覚的に分かりやすいと思われる。
現状、この機能は Radeon R9 290 Series と R9 285 でサポートされているが、今後はより拡大していく予定の模様。
ALIENWARE GRAPHICS AMPLIFIER
Catalyst OMEGA では DELL の Alienware Graphics Amplifier をサポートする。
現状、Alienware 13 では Intel + nVidia の構成になるが、Alienware Graphics Amplifier を用いる事で Radeon も使用可能になる。
Alienware 13 内蔵の GeForce GTX 860M と比較すると、Radeon R9 290X を用いた場合には UltraHD にも対応する他、性能は劇的に向上する。
AMD FREESYNC TECHNOLOGY
FreeSync とは GPU とモニターが同じ物を同じタイミングで同時にの描写する事を可能とする機能。ゲーマーや映像を見るユーザーにはこの FreeSync という機能がスタンダードになるだろうと考えている様だ。
どう言う仕組みであるかと言えば、GPU の出力するフレームレートにモニターのリフレッシュレートを合わせると言う事を行っている。
通常、ゲーム等のフレームレートが大きく変化するシチュエーションでは「ティアリング」という現象が発生する。しかし、FreeSync を用いる事でティアリングを解消する事が出来るようになる。
ティアリングのイメージとしてはスライド画像の「AMD FreeSync OFF」が分かりやすいと思われる。
また、この FreeSync と同じ事が出来る技術としては nVidia の G-SYNC が存在する。FreeSync と G-SYNC の大きな違いとしては G-SYNC には専用のハードウェアをディスプレイに組み込む必要がある。それに対し、FreeSync ではその様な事も無く FreeSync 対応モニターと DisplayPort ケーブルが 1 本あれば良い。両者共、対応ディスプレイが必要にはなるが、専用のハードウェアを組み込む必要のない FreeSync に歩があると個人的に思う所。
Samsung からは近々 FreeSync 対応の UltraHD モニターがローンチされる。更には今後、Samsung より発売される UltraHD モニターは全て FreeSync 対応ともなるようだ。
5K モニター (5,120x2,880 Pixels)をもサポート。
EYEFINITY
更に「究極を……」というのであれば EYEFINITY を用いて 24 枚のモニターをドライブさせる事も…… この時、24 枚のモニターを合わせ、1 枚のモニターとして用いることが可能になる。
流石に 24 枚ものモニターを一般家庭で使うことには無理がありそうで、此処までの用途になるとデジタルビルボードや空港向けになるのではとの事。
パフォーマンス改善
Catalyst OMEGA によるいくつかのパフォーマンス改善についての紹介。
APU OPTIMIZATION
以下スライドのデータは Catalyst 14.2 (Kaveri ローンチ当時) から Catalyst OMEGA までドライバのアップデートによって伸びた性能を示すグラフになる。ハードウェア的にでは無く時間の経過と共にドライバによってパフォーマンスは最大 29% 上昇した。
GPU OPTIMIZATION
APU と同様に GPU に於いても Catalyst 13.12 から Catalyst OMEGA では最大 19% のパフォーマンスアップがなされている。
AMD の CPU と GPU を用いた場合、CoD のパフォーマンスは Catalyst OMEGA によって 15% 向上している。
AMD CATALYST OMEGA DRIVER QUALITY ASSURANCE
ドライバ自体の品質については自動化テストを 65% 追加、手動テストを 12% 追加した。
更にはコミュニティーにてユーザーに対し「Catalyst で直面する一番の問題は何か?」との問いを投げかけ、フィードバックから「問題が起こる Top-10 リスト」を作成して全て Fix を行った。
こちらのスライドがフィードバックにより作成された問題の起こる Top-10 List。
上から順に
- Catalyst 14.9 の問題として、インストール後に断続的なクラッシュ若しくは画面が暗転する。
- Catalyst 14.9 の CCC に於ける問題として、インストール中に AMDMantle64.dll エラーポップアップが偶に出る。
- Google Chrome にて H/W アクセラレーションを有効にして Youtube を見ているとクラッシュする。
- Google Chrome にて H/W アクセラレーションを有効にして、Flash を用いた動画を閲覧するとクラッシュする。
- ディスプレイがスリープモードから復帰しない。
- 起動時に AHCI Chipset Driver が原因となり、システムがクラッシュする。
- 144Hz ディスプレイと CrossFire 利用時、Direct3D アプリケーションを実行すると断続的にクラッシュする。
- Quad-CrossFire でゲームをするとシャッタリングやティアリングが発生していた。
- State of Decay textures can intermittently extrude beyond their boundaries or be corrupted.
- HDMI で接続した TV が無効な場合、再接続しても HDMI Audio が無効となったままになる。
1 つだけ意訳しようにも良く分からなかったのでそのまま英文を掲載。
今後も Catalyst OMEGA を使用して居るときに何か問題があれば www.amd.com/report まで報告して欲しいとの事。
現時点では英語のみとなってはいるが、「今後も更に対応言語を拡大して行きたい。その中でも日本語は第二の言語として対応を検討したい」と述べられた。
Catalyst OMEGA Driver
ダウンロードは AMD のサイトより可能となっている。
http://support.amd.com/ja-jp/download
更に、AMD Chipset Driver のパッケージもバージョンが Omega (14.12) となっているので、必要に応じてアップデートしてみるのも良いだろう。
Windows 7/8.1 x64 用
http://support.amd.com/ja-jp/download/chipset?os=Windows+8.1+-+64
Windows 7/8.1 x86 用
http://support.amd.com/ja-jp/download/chipset?os=Windows+8.1+-+32
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