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はじめに
2021/08/06 19:00 に販売開始となった Ryzen™ 5000G Series。
ラインナップは 6C12T の Ryzen™ 5 5600G、8C16T の Ryzen™ 5 5700G の 2 種類。
Ryzen™ 5 2400G でも性能的に不満は無いので、アップグレード先は最上位である必要も無く、予算的な兼ね合いもあり自然と Ryzen™ 5 5600G をチョイスする事となった。
2021/09/01 に載せ替えが完了してから 2 週間と少し。だいぶ遊んだし安定性も確認出来たのでレビューをお送りしたい。
Ryzen™ 5 5600G の写真
パッケージは以前のようにハードタイプではなく、Ryzen™ 5000 Series 同様の紙になっている。
国内正規代理店品と名の付く物を購入したのなら、必ずこの日本国内正規保証シールを確認しておこう。これが無い物は並行輸入品となる。
付属にリテールクーラーは Wraith Stealth が採用されている。
標準で塗られている CPU グリスは俗に言う「スッポン」を引き起こしやすいとされている為、面倒でも社外品に塗り替えた方が良いだろう。
Ryzen™ 5 5600G 本体はこちら。
2021 年の 26 週 (6/28~7/4) に製造された個体だった。いつ見ても良いヒートスプレッダ。
Socket は変わらず AM4 なので、ピンは 1331 本ある。折ったり曲げたりしないよう、丁寧に扱おう。
Ryzen™ 5000G Series のスペック
5600G, 5700G のスペックは上記の通りであり、両者の主な違いは搭載されているコア数、それに伴う L2 キャッシュサイズ、CPU 動作クロック、GPU コア数、GPU Clock となる。
CPU コアアーキテクチャは Zen3、GPU アーキテクチャが Vega という基盤となる部分は当然同じだ。
よって Ryzen™ 5000G Series が AMD Fluid Motion 対応 APU としては最後になるかもしれない。
使用マシンスペック
Ryzen™ 5 5600G を載せたマシンのスペックは以下の通り。
用途は 24/365 で起動しっぱなしのサブマシンであり、調べ物やメール確認の為にブラウザと MUA が常時起動したままである。
Earthsoft PT2 を用いた自動録画予約も行っている関係上、動画視聴も行うし Windows 10 の機能を用いた DLNA サーバーとしての働きもある。
また、今回のアップグレードで x264 エンコードも 720p SAR 4:3 という軽量級なら十分任せられる 200~250fps ほどの速度が出るようになったので、動画のエンコードも新たに用途として加わった。
これらにより、求めている物は「省電力性」「安定性」「信頼性」となる。
実際に使ってみたらこの 3 つに加え、おまけに「高性能」までくっ付いて来たという素晴らしい結果となった。
各種ベンチマークを行う
現状回避策が無い為、ベンチマーク結果のデータは単純にメモリ速度による違いに留まらないので参考程度に見て頂きたい。
2021/10/06 になり回避方法が分かったので 3DMark と FFXIV Benchmark のスコアを取りなおした。
3DMark
Fire Strike
お約束的に 3DMark の中から Fire Strike を実行した。
Ryzen™ 5 2400G のデータも過去に掲載したデータを入れ込み、今回のアップグレードによる性能向上が如何な物かなと比較した。
Graphics のスコアに関しては微増という結果だが、Ryzen™ 5 5600G の方が GPU コアが 1 つ少ない事を加味すると、それでもなおスコアが高い所に進化を感じる。
CPU 性能を左右する Physics に関しては見たままで何も言うことの無い圧倒的な向上幅を見せつけてくれた。
Time Spy
DirctX 12 ベースのベンチマークでも重い方のテスト項目となる Time Spy。
こちらの結果を見ると、メモリの動作速度が速い方が CPU スコアも高くなっている所が気になる所。
直接的に演算へ関わる部分ではないが、FCLK (Infinity-Fabric Clock) の差が影響しているのだろうと思われる。
コアアーキテクチャの進化による速度向上と、メモリ動作速度の影響を受けやすい APU ならではの結果かなと見受けられる。
Cinebench
CPU の処理性能を比較する際、非常に良く用いられる。
R20 と R23 の 2 つやっておくと参考になりやすい。
R20
Ryzen™ 5 2400G よりも Multi で 2.2 倍以上、Single すら 1.47 倍とこれだけの差があれば日常的なオペレーションでも差を体感出来るレベルの向上である。
R23
Cinebench R23 の方がスコアのスケールが大きい分、値が小さくなりがちな Single スコアの差が見やすい。
こちらは Ryzen™ 5 5600G のみでメモリ速度別 2 種となる。
スコアの差は誤差レベルに収まっている感じであった。
FinalFantasy XIV 暁月の終焉
FinalFantasy XIV オフィシャルベンチマークで、ゲームプレイに於ける性能評価が出来る。
同じ環境でもメモリ動作速度の影響を受けやすいことも知られている。
デスクトップ向けプリセット 3 種それぞれをメモリ速度 2 パターンで実行した。
流石に最高品質ともなればカクつくし、これではプレイはキツいというようなことを言われる。
標準品質であればなんとか行けそうな感じもあるが、実際には更に設定を落としてプアなグラフィック描写が強いられるだろう。
消費電力と温度に関して
筆者用途では省電力性も求めているので、ここもまた気になる部分。
システム消費電力に関してはサンワサプライのワットチェッカー TAP-TST5 を用いて計測。
温度は HWiNFO の Sensor で取得した Tdie の値を使用した。
計測時の室温は 25 度となっている。
Windows 10 IDLE とは Radeon Software と Chipset Driver のみをインストールした環境で、OS 起動後に放置した際の最小値を差す。
尚、サービスや常駐プロセスの多い常用環境に戻しても、何もしていなければ 43~46W 程度に落ち着くので、省電力性は高い。
3DMark 2 種では CPU 性能を計測する Physics 及び CPU Test を除外し、Graphics のテスト中の値を拾っている。
IntelBurnTest のプリセット VeryHigh は手持ちのストレステストが行えるソフトウェア中 (OCCT 各プリセット、Prime95 など) で最もシステム消費電力が高かったので採用した。
この VeryHigh を 10 周した際でもピーク 130W、温度も 69.1 度と 70 度を割ってきた。
Scythe ASHURA という古い CPU クーラーではあるが、5,000 円クラスの製品なら十分冷やせそうな感触が得られた。尚、リテールクーラーは使用しない主義なので未評価となる。
HEVC Encode とした物は AviSynth+ にて OpenCL を使用したフィルターを使っているので、エンコードによる CPU 負荷と OpenCL による iGPU 負荷も掛かるようなシチュエーションとなる。
予想では IntelBurnTest VeryHigh 以上には行かないかな―― と思っていたが、8W も越えた 138W という結果が出た。
実質的にこの 138W という値が筆者環境に於ける Ryzen™ 5 5600G が消費しうる最大のシステム消費電力となった。
使用感
Ryzen™ 5 2400G から Ryzen™ 5 5600G にアップグレードした事で、当然だが CPU 性能向上によるサクサク感が気になっていた所。
Zen3 コアアーキテクチャによりシングルスレッド処理性能が向上している部分が特に効果も大きく、日常的なブラウジングなどでも速さを感じ取ることが出来た。
何かのアクションを起こしたとき、結果が得られるまでの間にワンクッション入っていた物が抜けた感じとでも言うのだろうか。サクサクである。
iGPU に関しては BlueskyFRC + MPC-BE で Fluid Motion の Mode 2 が何ら問題無く使用出来たので何も不満は無い。
強いて言えば先にも注意書きした部分とはなるが、メモリの動作速度を DDR4-3600 以上に OverClock する事で iGPU Clock が強制的に 2000MHz へと OverClock される部分がしっくり来ない。
もっともこれが Ryzen™ 5 5600G の仕様なのか、それとも使用しているマザーボード GIGABYTE B550 AORUS ELITE V2 の仕様なのか不明なので今のところは我慢しているところ。何れは定格の 1900MHz になってくれればなと思う。
(2021/10/06 追記)
安定性
24/365 で起動しっぱなし運用をしている関係上、安定性は欠かせない。
そのくせ「メモリの OverClock はやっておきたい」というワガママ運用なのだが、2021/09/01 の稼働開始から BSoD や KP41 等のリセットがかかるエラーもなく、イベントビューアを覗いても想定されないエラーすら記録されずに約 2 週間の稼働を続けてくれている。
とはいえ OS の起動時間が 100~200 時間経過したら再起動を 1 回いれる等ということは行っているが。
そんなわけで今までと変わらず超安定環境も即時手に入れることが出来た。
信頼性に関しては安定性を手に入れた先にあると思うので、現状維持を願いたい所。
おわりに
Ryzen™ 5 2400G 購入当時の値段と Ryzen™ 5 5600G のそれを比べると 1.7 倍の出費にはなったが、性能は最大で 2.2 倍となる部分も見られたのでコストパフォーマンスで見ると妥当かそれ以上の製品であると感じ取れた。
購入を考えていた当時は正直そこまで必要なのかな―― 等と悩んでいた部分があったりしたが、実際に手にして使ってみると悩んでいたことは何だったのかと、過去の物にしてくれたから満足度も非常に高く、現状最高の APU だなとニッコリである。
記事更新履歴
- 2021/09/1715:05初版
- 2021/10/0616:10メモリ OC 時に iGPU Clock が強制される問題を回避出来るようになったので、3DMark と FFXIV Benchmark のグラフを作成し直した。
- 16:40Cinebench R20/23 のスコアも取りなおしてグラフを更新した。
- 2021/10/1120:50使用感の項にある一部へ打ち消し線を入れた。
コメント
5000番台のAPUでは
Ryzen 5 2400G マシンが希におかしくなるお話し
こちらの記事のようなブラウザ?ドライバ?が原因の不具合は起きているのでしょうか?
今のところ 5600G 環境では 1 週間に 1 度程度の再起動、若しくは WindowsUpdate 後やドライバ更新後の再起動を行うのみで、この記事を書いたときからずっと起動したままですがトラブルが起きた事は無いです。
ハード、ソフト共に安定しているようです。