AMD Ryzen 5 1600 Review Part.2 ベンチマークで見る性能

Review
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 Ryzen マシンになってからはひたすらベンチマーク、条件を変え OC して負荷テストからのベンチマークと言った具合に延々同じ様な画面を眺める時間を過ごしてきた。
 今回はベンチマーク編としてその結果をまとめたグラフを中心にあれやこれやと筆者なりの文章を付け加えて行く感じにしようかなと思う。

マシン構成

 現在の構成は次の様になる。流用出来る物はとにかく流用してコストを抑えながらスペックを上げて行くタイプで自作の醍醐味でもある。
 別ページにある所有 PC のページから PC スペックと消費電力に関係のあるところを主に抜粋。

CPUAMD Ryzen 5 1600
CPU-CoolerCorsair H100i
M/BASRock AB350 Gaming K4 (BIOS P2.60)
MemoryCFD W4U2400CM-8G (OC 2666)
SSDCFD S6THNG6Q (TOSHIBA)
SSDWesternDigital WD Blue SSD (1TB)
HDDWesternDigital WD10EFRX (WD Red 1TB)
VGASapphire NITRO+ RX470 4GD5
SoundOnBoard (Realtek ALC892)
PSUCorsair CMPSU-850AX (850W GOLD)
CaseCorsair Obsidian 550D
OSMicrosoft Windows10 Pro x64

ベンチマークレギュレーション

 筆者は性能評価を行うにあたって大体同じ様なベンチマークを同じ様な使い方でスコアを出すようにしている。いわゆるレギュレーションというやつ。そうすることで将来的にも比較データとして使える場合もあるからだ。
 今回は次のようなソフトウェアを用いることでデータを取っている。

  • 3DMark Advanced Edition
  • FF XIV HEAVENSWARD Benchmark
  • DRAGONQUEST X Benchmark
  • PSO2 キャラクタークリエイト体験版
  • CINEBENCH R15
  • x265.exe (HEVC Encode)

 また、ハードウェアのセッティングとしては CPU とメモリ共に定格動作をさせた場合と、CPU を 3.6GHz に OC しつつメモリも DDR4-2666 に OC した場合の物も入れ込んでいる。現在の常用環境は後者の OC 状態だ。更に付け加えると HPET は ON のままとして電源プランは AMD Ryzen Balanced を適用している。
 比較対象の FX-8350 は一環して 4.3GHz 1.3750V と OC した物にメモリは DDR3-1600 にしてある。

 念のためにお約束的文言を書いておくと、オーバークロック (OC) は最悪ハードウェアを損傷させる恐れがあるので事故責任の上で行わなければならない。

ベンチマークの目的

 当然 Ryzen 5 1600 自体の性能の確認が主だが、同じ割合で FX-8350 との比較を行うためだ。
 これはもう何年も同じ CPU で過ごしてきた為、どれだけスペックアップ出来たのかを体感としてではなく数値として見たいから。
 消費電力量も近年では悩みの種だったから合わせて比較する事とした。

ベンチマークデータ

3DMark

 定番のベンチマークソフトでありゲームを絡めた PC 性能の指標に扱える類のソフトウェアになる。
 DirectX 9 の今となっては軽量級なベンチマークから DirectX 11 で負荷の高い物まで扱え、最新の DirectX 12 を扱うベンチも行える。
 これ一本でも大体の性能指標となるので筆者としては必須項目としている。

 大まかなスコアの見方は次の通り

  • Score = 総合的なスコアそのままの意。
  • Graphics Score = グラフィックボードの性能がストレートに影響するスコア。
  • Physics Score = 物理演算。即ち CPU のみの演算で処理する項目なので CPU 性能がスコアに影響する。
  • Combined Score = グラフィックボードと CPU を共に用いた項目なので両者性能がスコアに影響する。

Ice Storm

 DirectX 9 レベルの軽量な API で行われるベンチマーク。
 MMORPG 等では未だ根強く用いられる部分なので該当するゲームをしている人は主にこの Ice Storm のスコアがゲームの快適度に直結するかもしれない。

 Ice Storm をやって先ず感じたのは FX-8350 が RX470 の性能を引き出し切れていなかったんだなと言う事。
 理由としては単純で Ryzen 5 1600 にしただけなのにグラフィックボードの性能を示す Graphics Score が跳ね上がったから。
 過去 Radeon R7 370 から RX470 に載せ替えした際でもここまで大幅な伸びは見られなかっただけにこれは確定かなと思う。
 Ryzen 5 1600 を OC することで更にスコアは伸びたから DirectX 9 主体のゲームでは FX-8350 環境と比べて相当快適になるだろうと思われる。

Cloud Gate

 DirectX 10 相当の API レベルで評価される項目がこの Cloud Gate。

 ここから少しずつ総合的な負荷も高まってくる。CPU を載せ替えることで Graphics Score が伸びては居る物の Ice Storm 程ではない。
 Physics Score が約 1.8 倍の高い伸び率を示した。

Sky Diver

 DirectX 11 相当の API レベルだがその中でも軽量な API を用いた部分となる。

 ここでも Graphics Score の伸びは微増なので CPU よりもグラフィックボード性能が活きてくる。
 Score 上昇の要は約 1.5 倍の伸び率を見せた Physics Score だろう。Combined でも CPU が使われるのでこちらも上昇している。
 現状で最新のゲームでも多く採用される DirectX 11 をコアに使われている。ある程度のグラフィックボードを使っているのであれば、後は CPU をアップグレードすると良いのだなと分かった。

Fire Strike

 DirectX 11 をフルに使った項目がこれ。

 既にここでもグラフィックボードがカツカツ状態になっているので、Score 上昇は CPU 交換に伴う Physics と Combined Score の上昇分が加味された物のみ。
 もっとスコアを上げたい場合、これより先はハイエンドなグラフィックボードに載せ替えないとなかなか難しいだろう。とは言え CPU というベースを持っていないとハイエンドボードにしても Ice Storm のスコアと同じ様な傾向になってしまうだろう。

Fire Strike Extreme

 Fire Strike を更にヘヴィーな設定にした重量級の項目。
 主にハイエンドなゲーミング用途ではここが重要視されている。筆者とはあまり縁の無い分野だが、折角 3DMark の Advanced Edition を購入したので今回からベンチマークを行う事にしてみた。

 傾向としては Fire Strike の標準と同じ様な感じで Physics Score メインで Score が微増に留まっている。所感としても同様だ。

Time Spy

 これは 3DMark としては初の DirectX 12 の API レベルを用いたベンチマークとなる。とは言え GeForce なんかとの互換性を持たせているらしく完全にネイティブではないというお話しも目にすることがあるが細かい事はさておき素直に数値だけを見てみる。

 DirectX 12 レベルとなると GPU をローレベルな制御を行いオーバーヘッドの少ない処理で高速化を実現しているので、CPU の影響は薄いものかとイメージしていたけど Graphics Score も上昇した。
 CPU Test の上昇幅も大きいが、あくまで Graphics のスコアに重点が置かれているのでトータルな Score の上昇は微増となる。

FF XIV Official Benchmark

 筆者はプレイしていないけどゲームのオフィシャルなベンチマークという事で、実際のプレイと直結する物だけにこのベンチマークも一応行っている。
 Ryzen 5 にした後に新しい STORMBLOOD 版もでたので FX-8350 を入れ込んだ比較は出来ないがデータとして採取しておいたからグラフも付け加えておく。
 実行に於ける設定はディスプレイ設定を 1920x1080 の FullHD としている。

HEAVENSWARD

 実行プリセットは最高設定のみとして DirectX 9 と 11 共にスコアを出した。快適性を求めるなら前者、綺麗なグラフィックをというなら後者の DirectX 11 を使うかんじだろうか。
 あまり CPU が依存するような物とは感じは辛く、微増していくのみとなった。

STORMBLOOD

 HEAVENSWARD とは異なりプリセットが細かくそして分かりやすく変更されていた。
 環境がデスクトップなので、標準/高品質のデスクトップ設定と最高品質の 3 パターンで実行をした。
 スコアが 7,000 を越えれば「非常に快適」という評価だそうなので、最高品質でも遊べそうな感じだ。

DRAGONQUEST X Benchmark

 これもまたゲームのオフィシャルベンチマーク。CPU とグラフィックの性能どちらかが上がってもスコアが伸びる。

 過去 R7 370 から RX470 に載せ替えた際にもスコアが激増したが、今回の CPU アップグレードでも更にスコアが伸びる結果となった。
 元々軽量級な部類に入るゲームタイトルなので、スコア上昇分だけ体感出来るかは良く分からないところだ。

PSO2 キャラクタークリエイト体験版

 実は 1 つ古いオフィシャルなベンチマークとなるのだが、最新版である EPSODE4 のデータを FX-8350 環境で取り忘れたのが理由で採用した。
 画面設定はフルスクリーン表示、1920x1080 の FullHD として簡易設定のみ変更していく形式としている。

 このベンチマークはグラフィック性能への比重が高い物だが、まだ CPU の性能による伸びしろが残っていたという結果となった。
 既にスコアは十分あった為、画面を見ていても Ryzen 5 1600 にしたからと言って更に滑らかに~とは体感する事が出来なかった。ただ、裏で配信するなどする人であれば余剰パワーで処理落ち無く出来てしまうのではと言うくらいの余裕だけは感じられた。

HEVC エンコード

 CPU 性能がものをいう x265.exe を用いた HEVC エンコードをやってみた。
 ソースは全て同一の TOKYO MX ソースの TS ファイルを 24 分ジャストにトリミングし、Avisynth でインタレ解除して 23.976fps にしたりリサイズやシャープ、アンシャープマスク、ノイズ除去系とフィルターも入れているのでエンコード処理自体もそうだが Avisynth による重い処理も折り込まれた物となる。
 データの採取はコマンドのオプションでログを有効化させ、出力された CSV 形式のデータを用いた。

 FX-8350 では 1,948 秒 (32 分 28 秒) もかかっていた物が最終的に OC した状態となると 1190 秒 (19 分 50 秒) と約 13 分もの時間を縮めるだけの高速化をしてくれた。
 OC せずとも定格で 24 fps 以上でているので動画時間 = エンコード時間を実現してくれている。

 加えてこのエンコードでは気になる温度のお話し。
 FX-8350 は M/B のセンサー側の数値を拾い、Ryzen 5 1600 では HWiNFO64 で表示される Tdie 温度を採用した。Tdie は CPU 内蔵の温度センサーと明確に分かっているので信頼に足る数値となる。尚 Tctl は温度で制御を行う為の数値であり、1800X や 1700X といった一部モデルではオフセットとして +20 されている物もある。
 Ryzen は Tjmax = 75℃ なので Tdie がその域に達するとサーマルスロットリングが発生して性能が低下する。故に冷却には少し気を使って Tdie あたりを見ておくと良い。

 ほぼ CPU を使いきった状態が約 20~32 分継続するのでフルロードしているともいえる状態だ。
 構成にも書いた通り冷却には Corsair H100i という簡易水冷を用いている。これは FX-8350 も共通だが温度が全然上がってこない印象が大きい。
 如何せん廃熱で室温が上昇しづらくなった分、冷房の設定温度を上げなければ行けないくらいなので。
 因みに Ryzen 5 1600 も M/B のセンサーから温度を拾うと、OC 時で 43℃ を示していた。FX-8350 と同じ条件とするなら -16℃ と言った所だろうか。全然熱くならない。

消費電力

 CPU の演算性能もさることながら、悩みの一つでもあった FX-8350 の消費電力の高さ。
 こうしてグラフとしてまとめて見るとこの消費電力はかなり感動ものだ。
 グラフは Peak Power Consumption とかいたがこれは良い日本語フォントがなかったので無理に英語としてみた。意味としては最大消費電力という事で、ワットモニターで一瞬であろうと表示された一番高い数値を拾っている。平均値としてはグラフの数値より 5~10W ほど下とみて差し支えない。

 全項目に於いて FX-8350 は突出して高い消費電力を示したが、Ryzen 5 1600 になると CPU の消費する電力だけ激減して 100W 以上も省電力化を実現している。
 より省電力性を求めるのであれば当然 OC 無しの定格運用か、定格動作で更に Vcore を絞ってみたりクロックを低く固定して更に Vcore を絞るなどと試行錯誤するのも良いだろうと思う。

 またグラフ化していないデータとしては IDLE 時の物があるが、これは FX-8350 で 95~110W の範囲で Ryzen 5 1600 は 55~70W の範囲にそれぞれ収まっている感じだ。
 FX-8350 の IDLE 時と Ryzen 5 1600 OC で 70% 前後の負荷をかけた場合が殆ど同じという事も付け加えておく。
 Ryzen のワットパフォーマンスは FX-8350 比だと末恐ろしい物がある。

ベンチマークのまとめ

 CPU 性能向上によるスコア向上が物によっては著しく、もう過去には戻れないといった感じだ。ちょっとヤバいかなと言うレベルの性能向上が得られた。
 ワッパヤバいなと。
 こうして触ってしまうと R7 1700 以上のハイエンドも欲しくなってきてしまうという物だ。将来的に何か臨時収入でもあれば手にかけたいかなと思う。

次回 Part.3 は

 数値的な物は今回で全て出し切った感じなので、OC や BIOS の設定やらメモリの動作速度の関係性、体感的なお話しを主体に何か書いていこうかと思う。
 とは言えマザーボードがゲーミングと冠しているのに細かな OC 設定が存在しないもんだからコアなお話しには至らないだろうが、暇があれば読んで頂きたいと思う。

 それではまた後日にでも。

履歴

2017/06/20

 18:10 ―― ベンチマークデータのグラフにて FFXIV STORMBLOOD のデータが定格と OC で逆になっていた物を修正。
 19:00 ―― 一部文章の微修正など

著者プロフィール
ぶっち

本格的に PC へ触れ始めてたのは 1990 年位から。
興味は PC 全般。OS は Windows と Linux などを嗜む。
プログラマやネットワークエンジニアを経てフリーに活動している 2 児の父な 40 代半ばのおじさんです。

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