AMD Radeon R9 Fury X 発売記念イベント「Feel, Fear, Fury」に行ってきた

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 2015/06/24 18:00 より秋葉原の UDX Gallery にて AMD の Radeon R9 Fury X 発売記念イベントが開催されるとの事だったので足を運んでみた。
 Fury X の発表以外にも、会場内では Radeon を搭載したグラフィックボードを販売してるパートナー企業各社による展示や Radeon 300 系と目玉となる Fury X が組み込まれたデモ PC も動作した状態で展示されていたので、その様子も合わせて会場の様子をお伝えしたいと思う。

18:00

 会場は秋葉原駅から目と鼻の先にある UDX。開場前に到着したが既に列が形成されており、その話題性の高さを伺い知ることが出来た。

会場となった UDX
開場直後の様子

 開場と同時に Fury X 搭載マシンで体験出来る Oculus Rift コーナーへは直ぐに列が出来てそれなりの待ち時間が発生していた。取り敢えず全部見て回りたかったから Oculus Rift の体験は断念しつつ他を回る事に。Oculus Rift は GPU に Radeon R9 290 レベルを要求してくる (参考) 為、Fury X の用途としては的確である。
 ボディペインティングのコーナーもかなりの人気があって、AMD のロゴや Fury X のロゴを顔や腕にした人達も多く見かけた。これは後で落とすのが大変そうだからと瞬時に解釈。雰囲気だけを味わってその場を後にした。

Fury X 搭載デモ機の展示

 入って直ぐの Oculus Rift 体験コーナーの横に展示されていたデモ機が目を引いた。Fury X 搭載マシンであり、サイドパネルを外した状態であったから早速 Fury X が動作する様子を間近に見ることが出来た。

Fury X の 120mm ラジエーター

 ご覧のようにケースフロント側のメモリスロットまで到達しないカード長の物が Radeon R9 Fury X。非常に短くコンパクトであり、それ故に冷却性を効率良く確保する為の水冷方式を採用する。Fiji Chip には VRAM となる HBM (High Bandwidth Memory) が GPU コアと共に封入されている。これはコアとメモリを同時に冷却している事にもなる。その為か Fury X 製品基板上へはファンが搭載されていないから、静音性を確保しつつ安定した冷却を可能としている。
 また、このデモ機は CPU も 240mm ラジエーター品の簡易水冷を装着している事から、Fury X のラジエーターもリアサイドへ装着する事で CPU と GPU 同時に水冷方式とする運用も可能だと分かった。

 もう一台気になったデモ機があったので写真を撮って置いた。

 何が気になるかと言えば「この構成」となる。CPU は自分がメインにしているマシンと同じ FX-8350 で、GPU は今回の目玉となる Fury X。PC ケースが実はこれ結構欲しいなと思っている Corsair の物。M/B は ASUS の CROSSHAIR V FOMURA-Z になっている。そう、その物ずばりこの構成は自分が考えて居る現状の鉄板構成その物なので非常に羨ましく思ったのである。FX Feel Fury なんて感じに F で揃えた言葉が合いそうな気も。
 また、このデモ機ではフロントに Fury X のラジエーターを設置しているのが見える。それとは別にフロントファンを付けていることから、ラジエーターで暖まった空気だけをケース内に流すような事は起きないと思われる。

 そしてこの規模までディスプレイを連ねた環境は初めて見るので圧倒的な存在感を感じた。

Eyefinity トータル 6K FreeSync デモ

 LG 34UM67-P を 3 枚並べた Eyefinity & FreeSync のデモだ。トータルで解像度は 7680x1080 となる。もはやこのレベルになると Fury X 以下の Radeon だと快適にゲームをプレイすることは難しそうだと感じる他ない。
 この画面をジーと無心でみたあと、ふと気付いたことがあった。FreeSync が効いているだけあってティアリングという物を一切忘れていられたことだ。あの特有のオブジェクトのズレなんて物は皆無であり、尚かつ負荷によるカク付きも気にならなかったことから Fury X の底力を一番良く見ることの出来たデモだと思った。
 とは言えこの規模の構成を難なく設置出来るお宅はどの程度あるのだろうかとも思ったのである……

各社グラフィックスカードの展示

 メーカーによるオリジナルファンを搭載した R7 360, R7 370, R9 380, R9 390X の展示品をチョイスしてみた。この様なカードのみの写真を撮るのがかなり好きな変わり者なので結構お腹いっぱいな感じになった。MSI と ASUS あたりが個人的好みであり、格好良いなーと展示しているところを何往復かしてみた。Fury X に手を出せない身として、狙いは R9 380 辺りとなりそうだ。

インスパイア アート展

 「Feel, Fear, Fury」 ~ AMD Radeon R9 Fury X ~ インスパイアアート展なる物も同時に会場内で行われていた。
 AMD 非公認キャラクターである「愛真田 心」(あまだ こころ) と Fury X をインスパイアしたアートになる。オリジナルは一番左の写真の右上のアート。このキャラクターは結構好きなのでしっかりと写真に収めてきたのである。
 絵心の無い自分からしたら、全て「うまい」の一言しか出てこないのでこれ以上のコメントは控える。

ステージにて新製品発表会開始!

 18:45 よりメインとなる新製品発表会が開始された。司会進行はケチャップさん (しぶい)、山下まみさん (かわいい) のお二方により執り行われた。
 発表会の内容に関する記載はスライドに合わせて自分自身の言葉で書いたり、発表をしている方の発言を文字にしつつ少し直した物が混ざっている。また、スライドに関しては全てを載せるのでは無く、何枚かは間引いてしまっているので予めご了承を頂きたい。

ケチャップ さん (スポーツ DJ, タレント)
山下まみ さん (声優)


 David Bennett 氏の挨拶から始まった。ネイティブな日本人かと思う程に日本語が訛りも無く上手い。かなり驚いた。日本は大事なマーケットであるとの一言もあった。
 続いて今回、製品発表に於いて詳細なプレゼンをして頂いた方がこちらのお二方。Richard Huddy 氏、Devon Nekechuk 氏になる。英語によるプレゼンで、同時通訳を通す形となった。

Richard Huddy 氏
Devon Nekechuk 氏

Radeon R7/R9 300 シリーズ紹介

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 Radeon R7/R9 300 シリーズは全て DirectX 12 をサポートする。

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 DirectX 12 の主な機能は
 ・MultiThreaded Command Buffer Recording — マルチコア CPU を効率良く扱うことをこの様に呼んでいる。
 ・ASYNC SHADERS — 新たなハードウェアの機能。画像の品質、フレームレートの向上が見込まれる。
 ・EXPLICIT MULTIADAPTER — 複数の GPU を搭載したとき、その全てを効率良く扱えるようになる機能。
 と、こうなる。

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 R7 360 は軽量なゲームを 1080p 60FPS でプレイ出来るように設計されている。BF4 の様な少し重めの物であれば R7 370 を使う事をオススメとの事。

R7 370 のスペック

R7 370 のスペック

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 1440p の解像度を使いたいとか、144Hz 液晶モニタを使う、FreeSync を使いたい等のステップに来たらこの R9 380 をオススメするとの事だ。

R9 380 のスペック

R9 380 のスペック

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 1440p よりも更に上の 4K でゲームをしたいと言うのであれば、4K でのゲーミングをターゲットとして開発された R9 390 シリーズをオススメ。

R9 390/390X のスペック

R9 390/390X のスペック

Fiji Chip について

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 そして 390 シリーズよりも更に上のパフォーマンス、例えば 4K モニター上で Ultra Setting を使いたい場合にはこの Fiji チップが必要になる。これは世界で最も複雑な GPU で、89 億ものトランジスタを搭載している。現在、Fiji に近い Chip は他には無く、唯一無二である。

Fiji の Chip を披露

Fiji の Chip を披露

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 Fiji は HBM を搭載した最初の Chip でもある。HBM (High Bandwidth Memory) とはメモリチップを三次元的に積み上げて実装する革新的な技術になる。積み上げるときは図の様にメモリチップを貫通するように実装されている。

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 そして Fiji でもっとも凄い物がこの図。290X では GPU の周りにメモリチップを分散する形で配置をしていた。よって、物理的なスペースを必要とされていた。だが、HBM の技術を用いると Fiji のチップと同じパッケージにメモリをスタック化する事が可能となる。それによって非常にコンパクトなサイズにする事が出来るようになる。

実物で 290X と Fury での基盤の比較

実物で 290X と Fury での基盤の比較 (ぶれた写真しか無かった……)

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 GDDR5 と HBM の違いが表に纏められた。実装の違いからバス幅が大幅に増えており、GDDR5 で 32bit だった物が HBM となることによって 1,024bit にまで広くなった。
 一方、動作クロックは逆に 1/3 程度まで低下している。しかし、バス幅の広さからメモリの帯域は逆に 1 スタックあたり 100GB/s ほど上回る 128GB/s に及ぶ。尚かつ動作電圧が 1.5V から 1.3V に落ちている為、より省エネである。
 HBM を採用する事で、バス幅が大幅に向上。動作クロックは落ちるが帯域は大幅に向上し、動作電圧が低いので消費電力も低下となるのが最たるメリットになる。良いことしか無い。

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 実際に製品となる Chip の詳細がこちら。
 HBM として 4 スタック 4GB を載せ、バンド幅は 4,096bit、帯域は 512GB/s になる。スタックした数だけスペックを足し算した物が最終的なスペックになる様だ。
 これだけの帯域を誇っていても、それを使い尽くせるだけの GPU が必要になる。
 その為、GPU は GCN アーキテクチャを採用し、CU は 64、SP は 4096 機になる。このスペックだと演算性能が 8.6TFlops になる。

Fury X の解説

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 そして Fiji を用いた製品がこの AMD Radeon R9 Fury Series になる。最初の製品化となる物が Fury X だ。

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 Fury X は 290X と比べ、基盤の長さが 11.5inch (約 29cm) から30% 短くなり 7.5inch (約 19cm) になった。よって miniITX などの非常に小さなフォームファクタに於いても内蔵する事が可能となる。

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 既にご存じの通り、Fury X では水冷方式を採用している。冷却性が高く、そして静かな運用が出来る。
 一般的なゲームであれば GPU の温度は 50℃ に抑えることが出来、動作音も 32dB 以下になる。

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 ボード上の外部電源端子部には 9 個の LED が実装されている。
 これは GPU の負荷状態を表す物で、標準では赤く点灯している LED は数が多いほど負荷が高いことを意味する。この LED はユーザー設定で「青色」にも変更可能。
 緑色の LED が 1 つあるが、これが点灯しているときは ZeroCore Power mode 滞在時を意味する。このモードは Long Idle Mode から移行することで大幅に消費電力を引き下げる状態を差す。要は GPU が殆ど動く必要の無い時には GPU Core を止めてしまうので消費電力が下がると言う事に。

Fury X のスペック

Fury X のスペック

Fury Nano の解説

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 Fury X も Cool だけど、「もっと Cool なグラフィックスカードは無いのか。HBM の技術をどこまでプッシュ出来るのか」と考え、Fury Nano と言うグラフィックスカードの開発も行っている。
 これは世界で最もパフォーマンスの高い小型のカードになっている。

Fury Nano の実物

Fury Nano の実物

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 Fury Nano は Radeon R9 290X と比べた場合、ワットパフォーマンスが 2 倍に上がる。
 8pin のコネクタが 1 本のみなので、290X と「見た目で比較」したとしても 6pin 1 本分である 75W 以上は消費電力が確実に低下するはずである。(290X = 8+6pin = MAX 300W, Nano = 8pin = MAX 225W)
 この Fury Nano は今年夏の発売予定で動いているそうだ。

Project Quantum

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 今後、開発される可能性のある「コンセプト PC」として、この Project Quantum が紹介された。

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 小型のハイパフォーマンス PC としてリビングに置いても調和するデザインになっているとし、本体のサイズは一辺が 25cm になっていると言う。そしてその容量は 8ℓ。驚くほどの小型化を図っている。
 マザーボードはどんなハイパフォーマンスな CPU でも搭載できるような miniITX サイズの物を搭載している。とされている。

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 GPU を 1 つのみならず、2 つの GPU を載せることも簡単にできるようになるので、もっともパワフルな PC になりうる。実際に 2 つの Fiji を搭載したカードが公開された。実装面積が恐ろしく小さい Fiji ならではだ。
 一応この Fiji を 2 つ搭載したグラフィックスカードは 2015 年末リリース予定で開発が続いている模様。

LG Electronic 社による FreeSync 対応ディスプレイの紹介

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 続いては LG Electronic 社のプロダクトマーケティングチーム課長 森 斗志也 氏による AMD FreeSync に対応した液晶ディスプレーの製品及び技術紹介となる。
 尚、このプレゼン直前まで森氏が失踪して行方不明だったそうで、スタッフの方々も冷や冷やしていたそうだ……

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 この 34UM67-P は Eyefinity & FreeSync デモで展示されていたモデルだった。21:9 というアスペクト比を採用しているが、この比率は「シネスコサイズ」と呼ばれる物だそうだ。FullHD の液晶でみても画面上下に黒帯が出てしまう映画などは大体がこのシネスコサイズとなる。
 特長としては次のスライドの通りに。

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 ここで「スタッタリング」と「ティアリング」が発生するとどうなるかを詳しく説明されたスライドが登場したので見て見たい。
 FreeSync も Vsync (垂直同期) も共に未使用である場合、1 つのフレームを描写している合間に次のフレームも描写しようとしてティアリングが発生する事がある。
 FreeSync を未使用、Vsync を ON とした場合、フレーム 2 が 2 度描写されたりフレーム 4 が欠損していたりしてスタッタリングが発生している。いわゆるコマ落ちしているのでそこでカク付きを覚えるはず。
 FreeSync を使用すると、全てのフレーム間隔をおおよそ等しい時間軸で描写してくれるので、スタッタリングもティアリングも発生しないとしている。

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 21:9 というシネスコサイズでゲームをすると、視野がこれだけ広くなるという比較を行った物。このスライドを選んだのは過去に AION を 6 年程プレイしていたから。なので、この広さが意味することが良く分かる。対人戦になると、視野を広く持たないと自分が倒されてしまうなどと言う事が頻繁に起こりうるからだ。

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 UM67 シリーズに搭載されている DAS モードの詳細も説明があった。スケーラーチップというのは、入力信号を処理して適切なサイズに画像を拡大縮小するような回路だが、これを介さない事で「必ず発生してしまう遅延をスルー」する事でタイムラグを解消する。
 主に FPS の様なフレーム単位にシビアなゲームで要求される様だ。恐ろしい。

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フィナーレ

 19:50 に全てのプレゼンが終了。予定ではあったはずの「じゃんけん大会」が消失しエンディングへと向かい無事終了となった。

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おわりに

 結局最後まで Oculus Rift の体験が出来ないまま、時間も遅くなってきたし疲れも出てきたから会場を後にする事とした。
 この Feel, Fear, Fury イベントでは PC ショップ店頭などでも見る事が出来ないようなデモ機が間近で動いていたりと、貴重な体験がたくさんあった。
 Radeon R9 Fury X は個人的においそれと購入出来るような値段でもないから、自分にはあまり縁が無いかな…… とも思う所だが、現状でエンスージ向けハイエンドであっても HBM の技術は何れコンシューマに落ちてくるだろうし今のうち知識として持ち合わせておくことには何ら損は無いだろう。
 現状の Radeon と少し先の将来についても生の情報で知ることが出来たし、良い勉強にもなったので参加して良かったと素直に思える良いイベントだった。

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