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はじめに
以前、メインマシンの Ryzen 7 1700X を 3.8GHz に OC しつつ Vcore を Offset 設定したら低負荷時は省電力に、高負荷時はパワフルになんていうワガママ OC が出来上がった。
筆者の場合、Ryzen 5 2400G はクロックこそ定格動作主義だけど Vcore というより VID が元から高めである事から、マイナス Offset して上げたらより省電力になるのかなと実験してみた所、意外にもパフォーマンスアップを果たせてしまった。
そんなお話し。
Ryzen 5 2400G の VID
VID は Vcore として要求する値だけど、それがそのまま供給されるかはマザーボード次第。
Vcore の Offset 設定は VID に対し指定した値だけ ± した物を供給してあげる設定になる。
Ryzen 5 2400G は CPB で MAX Boost するとき、クロックは 3.9GHz で VID は 1.450V を指示する。他の P-State 時に於いても「ちょっとそれ高すぎるんじゃないかな」って VID が出ているのが実情。
次のスクリーンショットは P0~2 のデフォルトな VID。これを元にしてより細かく VID が指示される。
これはどの様な個体であっても完全に安定動作するであろうマージンをかなり多く取っている物だと見て取れる。
Vcore の Offset 調整をしてみる
MSI B350 TOMAHAWK も BIOS 7A34v1L (1.L0) から Vcore の Offset 設定がサポートされた。
Vcore 設定より Offset Mode を指定し、– 調整の設定として 更に調整量を 0.05 とした。
根拠としては同じ Zen コアアーキテクチャな Ryzen 7 1700X だと個体差もあるだろうけど 3.8GHz すら 1.250V で完全安定動作するのに Ryzen 5 2400G では 3.6GHz 動作時の VID が 1.350V にもなっていた為。
もっと大きく -0.10V とも思ったが CPB の動作具合によっては不安定になるかも知れないし実際にどうなるか検証する時間も無いので止めておいた。
念のためのストレステスト
筆者の場合、CPU に関わる設定後のストレステストとして IntelBurnTest を取り敢えず行う事にしている。プリセットは Very High というのもお決まりに。
これは手っ取り早く超高負荷状態を作り出せるしエラーが出ればちゃんと止まってくれるので重宝している。経験上はこれ一本で事足りるけど、もっと安定性を考慮したいのであれば Prime95 や OCCT で 1 時間程度の高負荷状態を耐久させるのも良い手段だ。
この IntelBurnTest 実行中は HWiNFO64 でクロックと VID, Vcore の値を観察していたが、どうも動作クロックが今まで異なる挙動を示していた。
全コアブースト時のクロックが今までなら良い所で 3,725MHz 程度だった物が 3,750~3,825MHz あたりまで上昇して維持するようなポイントが多々見られた。
Vcore が下がった分だけ「TDP に対する発熱量」や「消費電力」に余裕が出来たが故の Precision Boost による物なのかどうかという感じだが、もしかしたらパフォーマンス的にも伸びが見られるのではと思った。
ベンチマークしてみる
実行環境は以下の通りで Ryzen 5 2400G は定格クロック動作として Vcore のみ Offset -0.05V とした物。
メモリに関しては手動にて DDR4-3200 CL18-18-18-39 1.36V と設定している。
CINEBENCH R15
先ずはサクッと定番の CINEBENCH R15 を試してみた。
今回のスコアはマルチ 832cb, シングル 155cb となった。
CPU Multi に関しては以前だとグラフの下部にあるとおり 804cb だったので、結果には環境差もあるだろうけどかなり良い伸び率となった。
Single に対する影響は無いようでスコアは変わらず。といっても Single のスコアは 1 ポイントの重みがデカいので絶妙に上がっている可能性も否めないがスコアに出ない以上なんとも言えないかなと。
x264 エンコード
Offset 設定する前に Amatsukaze を用いた x264 エンコードをした物を Offset 設定後にもう一度行ってみたら 21 秒ほどエンコード時間が縮まった。
Amatsukaze は最終的なログとして fps が出ない為、エンコード時間でのみの比較となってしまった。
3DMark Fire Strike
iGPU に対してはちょっと厳しめの Fire Strike。
トータルスコアとしては最高記録となる 3,429 をマークした。CPU 性能を示す Physics score が 10,253 となっているので昨年末実行時のスコアよりも 964 ポイント増加ということで確かに演算性能が上がっているとここからも分かる。
また、今回実行した結果はオンラインでも見る事が出来る。
おわりに
マザーボード側が Vcore 設定で Offset 調整をサポートしているのであれば、定格動作をするのであっても Vcore をマイナス Offset 調整する事で簡単にパフォーマンスアップを果たすことが出来た。
Ryzen 系のクロック制御は冷却性能なども密に関わってくるので、今回試して確認出来たパフォーマンスアップをどの様な環境でも一律に得られる保証は全く無いところだが、Offset 調整可能なマザーボードを使用しているのであれば一度試してみては如何だろうか。
もちろん設定後のストレステストなどの若干面倒な部分もあるが、それに見合ったパフォーマンスアップが得られるようであれば儲けものだ。
尚、パフォーマンスアップよりも素直に省電力にしたいのであれば CPB は OFF にしないとマイナス Offset した余剰分をブーストに持って行かれるため意味が無い。
また、今後はどこまでマイナス Offset しても完全安定動作してくれるかという検証も時間を見て出来ればなと思う。
それといつも思うけど Ryzen のクロック制御 SenseMI は非常に優秀。
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