AMD Elite A-Series APU Richland ブロガー勉強会参加レポート

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 今まで Llama, Trinity, Vishera と AMD で行われた勉強会に参加して来たが、今回発売する Richland に関しては「招待制」となり、5/31 に勉強会が行われる運びとなった。無事に参加出来たのでレポートをお送りしたい。


 当日は 19:00 より入場開始。19:30 より勉強会が開始された。自分は裸眼だが疲れ目でボケて居た為、最前列に座りたかった。なので 19:00 前にはロビーで待って入場開始と同時に会場入りをした。
 毎回恒例となるが、お弁当の用意を頂いたので開始までに頂いてしまうことに。これが結構ボリュームあってお腹がキツキツとなってしまった。
おべんとう

 そして 19:30 より定刻通り勉強会開始。以下、勉強会の内容を進行通りに簡単なレポートを書く。

コンピューティングはいよいよ CPU+GPU へ

 ここは Trinity の勉強会で行われた内容と同じで「復習」となった。「CPU と GPU」の異なる演算を行う 2 つのプロセシングユニットを効率的に「使う」若しくは「プログラミングする」事を目的としたいわゆる HSA (Heterogenous System Architecture) への取り組みを再認識。
 現在では OS として Windows, Linux、アプリとして MS Office。技術的な事として OpenCL や HTML5。その他ゲーミングや動画、画像処理にも GPGPU が多く用いられるようになっている。
 これには CPU の演算処理能力が向上していく速度よりも、GPU の演算能力が向上する速度の方が劇的である為、頭打ちとなってしまった CPU 演算処理能力をより効率的に改善出来ないかと言った問題に対する解決策が GPGPU。つまり APU の誕生へとなった物と思われる。
 (現状、CPU の演算能力は GPU の演算能力の 1/10 以下である)

 更に Windows8 の登場により GPGPU の優位性が更に顕著となった。UI から InternetExplorer10 に於けるレンダリングまでハードウェアアクセラレーションを用いた描写が行われる為、CPU はより良い GPU と組み合わせることでユーザビリティが増すのである。それを 1 つのプロセッサとしてまとめた APU こそが新しいエクスペリエンスなのだろう。

 また、ここでは誰でも試すことが出来る OpenCL のデモンストレーションが行われたので紹介しておきたい。
 「GPU Caps Viewer」というアプリを用いて CPU 単体演算によるグラフィックスのレンダリングと OpenCL を用いた同様のレンダリングを比較する事が出来る。勿論、CPU 単体では数 fps という速度でしか描画されない物であっても OpenCL を用いる事で 60fps を超えていくような劇的な効果を見て取ることが可能となる。個人的にもこのデモは分かっていても「おおっ!」と思ってしまう程の物であった。

こちらが CPU 単体の結果。fps は 7。
OpenCL による結果。10 倍以上となる 75fps。CPU は殆ど使われず、GPU による演算が主体であることも見て取れる。

新 A-Series APU “Richland”

 ここに来てロゴが新しくなった。CPU-Z のスクリーンショットからロゴを拝借。

 この見慣れたロゴも以下の様にスタイリッシュになった。

 主な特長としては「CPU は最大 4.4GHz」の動作周波数を誇り、GPU の SIMD は Trinity と同じく 6 個ながらも動作周波数は 844MHz へと上昇。さらに「Enhanced Turobo Core Technology」として、ダイ上に温度センサーをあちらこちらに散りばめ、発熱などにより発生するボトルネックを検出するアルゴリズムが搭載された。採用された Socket は Trinity と変わらず SocketFM2 になる。また A10-6800K に限っては DDR3-2133 までのメモリが正式サポートされている。APU はメモリの動作速度が密に関わってくる為、A10-6800K を使用するのであれば極力高いクロックで動作するメモリを用いた方が良い。
 尚、採用される Chipset は既存通り A55, A75, A85X の 3 種類のみのままだ。よってマザーボードメーカー各社は BIOS アップデートでの Richland 対応を謳うか、既存製品のマイナーチェンジ版を出してくるの「かも」知れない所だ。

Richland と Trinity のパフォーマンス比較

 APU としてのパフォーマンス比較も紹介され「Richland は Trinity よりも約 20% 高速」であるとされた。実際に後日ベンチマークを取った結果、3DMark の FireStrike Test で A10-5800K@4.4GHz は 942。A10-6800K は 1,019 であった。OC した 5800K よりも更に 8% のスコア向上なので、APU としての性能は確実に上がっている。
 ベンチマークソフト以外にも、実際のゲームタイトルに於ける性能差も披露された。対抗となる Intel Core i5-3470 との比較だ。共に iGPU を用いた比較にはなるが、概ね 4~5 倍の fps 差があり APU に内包されている RadeonHD の優秀さを見て取れた。

Richland の特長

 メインストリーム PC にとって「理想のプラットフォーム」であることを強調し、最大 779GFlops を誇る演算性能に加え、エンターテイメント向けとして Eyefinity に対応した RadeonHD 8000 Graphics を CPU と同じプロセッサに内包。既存の SocketFM2 環境を利用可能とすることで、開発・カスタマイズが容易であると言う 1 つのプラットフォームだ。

DDR3-2133 動作の正式サポート

 A10-6800K のみのサポートとはなるが、DDR3-2133 が正式サポートされる。先にも書いたがメモリの動作速度が速くなるほど全体的な動作も速くなるのは APU の特徴でもある。実際にここで SEGA PSO2 Benchmark のスコアをメモリ速度毎に計測したデータを見せて貰った。DDR3-1333 と 2133 ではそのスコアの差が約 2 倍。DDR3-2400 とした場合の差は 2 倍以上にもなっていた。

Dual Graphics

 解像度として 1080p いわゆる FullHD 画質でゲームタイトルをプレイする場合、Dual Graphics を用いる事でフレームレートが 80~99% ほど増加する。A10 の APU では RadeonHD 6670/6650 が対応とされている。未だ 6000 番台のモデルが対応となっているので入手性の問題も何れは出てくるのかなと思う所ではある。

HD 動画再生支援機能

 Trinity の時から存在する機能であり、機能も変わらずと言った所。再生支援と言っても再生をアクセラレートするのみならず、色補正やノイズリダクション、ブロックノイズ除去と機能は豊富だ。
 今回はこの中でも「手ぶれ補正機能」に関して前回の勉強会よりも深く触れられた。最近流行っているらしい(?)ウェアラブルカメラなど、手ぶれ補正機能の付いていないカメラで撮影しても、見やすく手ぶれ補正を「かけながら」動画を楽しむことが出来るとされた。しかし、動画の内容によっては未だ未だ上手く機能しない面もあるので、適時 ON/OFF はした方が良いようだ。個人的にここは興味があったので、Trinity の勉強会後暫く経って触っていた所でもあるが、沖縄で発生した台風のニュースを Youtube で見た時には画面上固定されているはずのテロップが画面内を飛び回っており、良く分からなかった記憶しか無かった。

Richland による Next 体験

 Richland ならではのアドバンテージとして「メモリを介さずデータを VCE に渡すことが出来る」ようだ。VCE と言うのは「Video Codec Engine」の事で、ハードウェアエンコーダが APU に内蔵されている。A10-5800K にも搭載されては居るが、「メモリを介さずに」というのは Richland から。よってレイテンシーが短くなり使える幅が広がる。
 実際に「こんな事ができるよ」という感じに splashtop というリモートデスクトップアプリを用いた iPad によるデスクトップ PC の操作というデモンストレーションをして頂いた。内容はそのままの通り、splashtop というアプリを PC と iPad にインストールし PC の画面を iPad へリアルタイムに表示させたり、iPad からタップして PC を操作出来ていた。素直に凄いなと思う使い方だった。

2013 年 APU ラインナップ

 最後に Elite A-Series のラインナップが次の様に紹介された。

A10-6800K (RadeonHD 8670D) TDP100W 4.1GHz(Boost 4.4GHz) QuadCores
A10-6700 (RadeonHD 8670D) TDP 65W 3.7GHz(Boost 4.3GHz) QuadCores
A8-6600K (RadeonHD 8570D) TDP100W 3.9GHz(Boost 4.2GHz) QuadCores
A8-6500 (RadeonHD 8570D) TDP 65W 3.5GHz(Boost 4.1GHz) QuadCores
A6-6400K (RadeonHD 8470D) TDP 65W 3.9GHz(Boost 4.1GHz) DualCores

 末尾に K の付くモデルは通例通り Unlock モデルである為、OverClock が可能となる。具体的な予価は教えて貰えなかったので通販や店頭で実際に確認するほか無い所。

おわりに

 今回の勉強会は実施日の 10 日前にご招待頂く形となりびっくりした節もあるが、過去も含めて 4 回 APU/CPU の勉強会に参加出来て光栄に思うばかりである。
 APU は GPU を内包して居ながら CPU 部も着々と処理能力が向上し高性能になって来ている。にもかかわらず TDP はずっと変わらずに 100W に収めて来るのには関心するばかり。特に最近ではゲーミング以外でも GPU 性能が「より」重要視されつつあり、APU の優位性は目立ってくる物となるであろう。事実 Windows8 との親和性には目を見張る物がある。
 そろそろ自分もデスクトップマシンにテスト目的ではなく、Windows8 をメイン OS にしていこうかなと考え始めて来ているので、A10-6800K を有効に活用出来るよう情報収集をして行きたいと思った。

著者プロフィール
ぶっち

本格的に PC へ触れ始めてたのは 1990 年位から。
興味は PC 全般。OS は Windows と Linux などを嗜む。
プログラマやネットワークエンジニアを経てフリーに活動している 2 児の父な 40 代半ばのおじさんです。

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