Scythe ASHURA SCASR-1000 を買った

Review
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2014/03/09 追記あり

 購入目的としては、AMD A10-7850K の温度を HWiNFO64 を用いて見たときに「CPU 0 Package」の値が高負荷時に高くなる事を抑制出来ればと思ったから。
 HWiNFO64 では「AMD A10-7850K」の項に「CPU 0」と「CPU 0 Package」があり、M/B の GA-F2A88X-UP4 に搭載されている SuperI/O Chip の iTE IT8620E から取得する「CPU」という風に、3 種類の温度が取得することが出来る。各々が何を指しているのか今一理解しきれて居ないが、「CPU 0 Package」はダイ温度若しくはコア温度、IT8620Eの「CPU」は表面温度若しくは CPU Socket の温度と思い込んでいる。
 あれ!? それじゃぁ「CPU 0」ってなんだろう・・・・・・ とか、ThermalShutdown やらはどの値を監視しているんだろう等と疑問がまだまだ残る。追々調べていくこととしよう・・・・・・


 それはさておき、Scythe ASHURA SCASR-1000 のパッケージからマウントまでの様子を写真に一言絡めて行く感じに載せていく。PC ケースは Antec ThreeHundred Two AB である。問題無くマウント出来たので参考までに。

写真など

パッケージ。側面などに仕様などが記載されている。

パッケージ。側面などに仕様などが記載されている。


ナロータイプと言う物だそうで、フィン間が狭い。

ナロータイプと言う物だそうで、フィン間が狭い。


ヒートパイプは 6 本。

ヒートパイプは 6 本。


Intel は専用バックプレートを用い、AMD は M/B に標準で付いているバックプレートを用いる。

Intel は専用バックプレートを用い、AMD は M/B に標準で付いているバックプレートを用いる。


付属ファンを取り付けたときの正面図。ファンは 140mm だが、ネジ穴位置は 120mm ファン互換とか半端仕様

付属ファンを取り付けたときの正面図。ファンは 140mm だが、ネジ穴位置は 120mm ファン互換とか半端仕様


この手のクーラーとしては薄い。

この手のクーラーとしては薄い。


M/B 標準のバックプレートへ固定具を装着していく。

M/B 標準のバックプレートへ固定具を装着していく。


バックプレートのネジ受け高が 4mm 以上ある場合、最後に固定するネジにワッシャーを 2 つ挟む必要が有る。

バックプレートのネジ受け高が 4mm 以上ある場合、最後に固定するネジにワッシャーを 2 つ挟む必要が有る。


固定用プレートを噛ましてネジ留めする事で固定する。一応ネジの絞めすぎ注意らしいが、絞めきって丁度よい感じだった。

固定用プレートを噛ましてネジ留めする事で固定する。一応ネジの絞めすぎ注意らしいが、絞めきって丁度よい感じだった。


固定後のクリアランスはご覧の通り。

固定後のクリアランスはご覧の通り。


付属ファンを固定具で止める。

付属ファンを固定具で止める。


メモリソケットの白いシルクが奥まで見えているので、干渉はしないと分かる。

メモリソケットの白いシルクが奥まで見えているので、干渉はしないと分かる。

取り付けに関して

 Scythe の CPU クーラーにしては非常に取り付けやすい物。それでもまだ ETS-T40-TB の方が取り付けに関しては高ポイント。
 ASHURA を取り付ける上で気になるポイントもやはりあって、M/B 標準のバックプレートへ ASHURA の固定具を止めていくとき、最後に本体を固定しきるまではバックプレートがグラつく事。グラつくので本体を固定するネジが止めにくいのである。
 更に、M/B 標準のバックプレートのネジ受け部が 4mm 以上の高さである場合、ワッシャーを 2 つ使用しなければならないので、固定前に長さを調べなければならないのもまた一手間かかるポイントになる。

OCCT を用いた温度データ

 今までは ENERMAX ETS-T40-TB を使用して居たので、交換前に取得したグラフを用いて簡単に比較したい。OCCT で取得している温度は SuperI/O から得られる値となる。
 A10-7850K は 4.1GHz @1.375V LLC:Medium と言うセッティングとした。

ETS-T40-TB


Scythe ASHURA SCASR-1000

 共に室温が 19℃ となるように日を分けて早朝に行った。
 140mm ファンだし、ヒートパイプも 2 本多い ASHURA の方が冷えるであろうと期待した訳だが、A10-7850K 程度の温度では恩恵を得られないのか、それともグリスが馴染んでいないからなのかは分からないが、ASHURA の方が 2℃ 高い結果となった。
 別途 Prime95 のカスタム設定 (MinFFT 2048 のアレ) で 10 分実行したときのデータも取得したが、大きな差を見る事が出来なかった。
 Prime95 カスタム設定 (MinFFT 2048, MaxFFT 4096, Memory 2000, FFT size 60) 実行 10 分後の HWiNFO64 の値
 ETS-T40-TB : “CPU 0” 26.1℃ / “CPU 0 Package” 75.0℃ / “CPU” 35℃
 ASHURA   : “CPU 0” 26.0℃ / “CPU 0 Package” 75.0℃ / “CPU” 39℃

まとめ的な何か

 冷却に困って交換した訳では無く、気になる所を解消出来ればと思い、ETS-T40-TB から交換したが思うような結果は得られなかった。他所のレビューでは同様に ETS-T40-TB との比較が行われ、ASHURA の方が好成績になっている所ばかりだったのだが、どうも自分の所ではそうも上手く行かず、性能としては「同程度」としか評価が出来ない。
 もう数日使って「グリスの馴染みが~」とか言い訳出来ない時期に再度データを取ってみたい。取り付けミスも疑ってもう一度付け直す事も視野に入れていこう。
 あ、最後に気付いた悪い所が。折角 140mm ファンが用いられていると言うのに、実際に使える 140mm ファンは「ネジ穴位置が 120mm ファンと同じ位置にある物」などと意味不明な所である。標準的な 140mm ファンは固定出来ないので 120mm ファンを用いるか、変則的な 140mm ファンを探してこなければならないのである。手軽に風量を稼げる 140mm を普通にマウント出来れば良いのになぁ・・・・・・

再検証

 何故 ETS-T40-TB と同程度しか性能を発揮しないか気になって仕方ないので、再度観察して色々考えてみた。
 まず、凄く気になっていた点があって「FAN が 800rpm 程度までにしか回転数が上がらない」事に目を付けた。
 GA-F2A88X-UP4 の BIOS にて「CPU Fan Speed Control」の項目が Normal だと、標準的な PWM 制御で FAN を回すのだが APU の温度が 4.4GHz に OC した高負荷時であっても 47℃ 程度にしか上昇しないので、FAN が回りきらないのである。
 一般的なハイエンド CPU であれば、OC して負荷をかけると 50~60℃ は普通に越えてくるから、CPU Cooler 及び使用する FAN の性能に左右される。A10-7850K はそこまで発熱しないので、CPU Cooler と FAN の性能を出し切る前に CPU 温度が頭打ちになってしまうのである。いわゆる CPU Cooler がオーバースペックというお話しに。

 それでは「こうしよう」と打って出た策がこれ。

CPU Fan Manual 設定


 Normal 設定では、温度上昇に対する PWM 制御が「ぬるい」ので「1℃ 上昇する毎に上がる回転数の割合を増やす」ことにした。
 恐らく「2.50 PWM value /℃」にすれば 45℃ 程度でフル回転の 1,300rpm に到達すると思うが、音が気になりそうなので 1 段階下の「2.25 PWM」にセットしてみた。この値だと、HWiNFO64 の SuperI/O 経由にある CPU 温度が 37~39℃ で 1,200rpm になってくれる。

 この策が抱えていた問題に対する解決策その物ずばりであり、無事解決となった。
 改めて負荷をかけてデータを取ってみた。再度、上に書いた物をそのまま記載しつつ追記する。

 Prime95 カスタム設定 (MinFFT 2048, MaxFFT 4096, Memory 2000, FFT size 60) 実行 10 分後の HWiNFO64 の値
 A10-7850K @4.1GHz 1.375V LLC:Medium
 ETS-T40-TB : “CPU 0” 26.1℃ / “CPU 0 Package” 75.0℃ / “CPU” 35℃
 ASHURA   : “CPU 0” 26.0℃ / “CPU 0 Package” 75.0℃ / “CPU” 39℃ (CPU FAN Speed Control : Normal)
 ASHURA   : “CPU 0” 25.3℃ / “CPU 0 Package” 74.4℃ / “CPU” 37℃ (CPU FAN Speed Control : Manual 2.25PWM)
 ASHURA   : “CPU 0” 22.1℃ / “CPU 0 Package” 71.3℃ / “CPU” 35℃ (CPU FAN Speed Control : FULL 1,400rpm)
 A10-7850K @4.4GHz 1.425V LLC:Medium
 ASHURA   : “CPU 0” 34.3℃ / “CPU 0 Package” 83.3℃ / “CPU” 47℃ (CPU FAN Speed Control : Normal)
 ASHURA   : “CPU 0” 32.8℃ / “CPU 0 Package” 81.5℃ / “CPU” 45℃ (CPU FAN Speed Control : Manual 2.25PWM)

 IDLE 時
 ETS-T40-TB : “CPU 0” 3.5℃ / “CPU 0 Package” 45.0℃ / “CPU” 13℃
 ASHURA   : “CPU 0” 1.8℃ / “CPU 0 Package” 42.4℃ / “CPU” 13℃ (CPU FAN Speed Control : Manual 2.25PWM)

 以上となった。
 こうしてみると APU は OC しても SuperI/O から取得する CPU 温度が 50℃ も行かないと言う理由で FAN の PWM 制御が上手く行かない事もあると勉強になった。発熱を適切に知り、適切な設定を行わないとダメと。そう考えると、ASHURA は APU に対してオーバースペックなのだなと・・・・・・ 一時期は簡易水冷でも付けようかと考えたが、この結果を見る限り同様にオーバースペック過ぎるかも知れない。

 FAN Speed Control 設定後の OCCT は時間が取れずなので、また後日に室温が 19℃ になったときにでも取得しようと思う。

著者プロフィール
ぶっち

本格的に PC へ触れ始めてたのは 1990 年位から。
興味は PC 全般。OS は Windows と Linux などを嗜む。
プログラマやネットワークエンジニアを経てフリーに活動している 40 代も後半に入ったおじさんです。

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