AMD APU A10-7870K Godavari Review

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 APU 最上位であった A10-7850K のローンチから 1 年 3 ヶ月。2015/05/28 21:01 にローンチされた A10-7870K を早くも日本 AMD 株式会社より借用する事が出来たので、早速使用感や 3DMark を用いたベンチマーク結果をお伝えしたいと思う。

A10-7870K の特長

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 コードネーム Kaveri から Godavari となった A10 シリーズ最上位がこの A10-7870K である。
 驚きのパフォーマンス、オンラインゲームもなめらかに。Socket の互換性があるからアップグレードも簡単。これら謳い文句通りである。5/28 の時点での店頭販売額が税込みでも 18,000 円台と安い。A10-7850K はたしか 21,980 円で購入したのでそれと比べると…… 凄い。
 Socket は変わらず FM2+ であるから APU をそのまま交換し、最新の Catalyst OMEGA を導入すればパフォーマンスを発揮出来る。ただ、気を付けたいところは UEFI (BIOS) の対応状況だ。UEFI のアップデートを行うなり、最初から対応するマザーボードを購入する必要がある。今回検証で用いる GIGABYTE F2A88X-UP4 は BIOS のバージョン F7 で対応済み。

A10-7870K のスペックを確認

29_7870k_spec
 資料による正確なスペックを見ると、A10-7850K 比で CPU 動作クロックが 3.7GHz から 3.9GHz へ 200MHz の上昇。Max Turbo 時には 4.0GHz から 4.1GHz へと 100MHz という小幅な上昇を遂げている。iGPU (intergrated Graphics Processing Units) では 720MHz から 866MHz に大幅な上昇となった。
 CPU と iGPU の動作クロックが上昇しているにもかかわらず、TDP (Thermal Design Power) は変わらず同じ 95W を維持している。実質的なパワーアップと言えよう。
 直接的なクロックをみた性能も良いが、API レベルの対応も強化されている。例えば DirectX 12 だとか HSA、AMD FreeSync がある。上の資料に記載されていないものだと、話題の Fluid Motion や VSR (Virtual Screen Resolution) にも対応している。非常に先進的な機能を備えつつも安価なプロセッサとなっている。
 対応メモリは DDR3-2133 までであるが、「A.M.P Profile 対応メモリ」であれば DDR3-2400 動作も可能とされている。その際、DualRank のメモリモジュールであれば更に良いとの記述も手元の資料には書かれている。たしか DualRank な DDR3-2400 対応 RadeonMemory は 8GBx2 のもので、4GBx2 の型番だと SingleRank だったと記憶している。

対応している機能の簡単な解説

 A10-7870K が対応している機能の簡単な解説を先ずここで行っておきたい。

DirectX12

 Windows 10 から実装される DirectX の最新バージョン。AMD の資料でもあまり見かけなくなった Mantle と言う「GPU に対してローレベルな API で直接制御し、余分なオーバーヘッドを除外する事でより効率的に高速化」しようと言う機能だが、この Mantle のアプローチや技術はひっそりと DirectX12 へと内包されている。当然 Mantle にも対応しているし、Vulcan (次世代のグラフィック API) にも対応している。

HSA

 HSA は Heterogenous System Archtecture の略。CPU と GPU の垣根を意識すること無く扱えるようにする為の思想的な仕組みである。
 GPU を用いた演算を行うようなプログラミングを行う際、非常に複雑な手続きを行わなければならず生産性の伸びが今一であったが、HSA が登場してからはより簡略化した手続きだけで GPU を用いた高速で省電力なプログラムを作成出来る様になる。

AMD FreeSync

29_7870k_freesync
 3D を用いた高負荷なゲームではフレームレートが均一では無く、早くなったり遅くなったりするのが一般的であり、この時ディスプレイのリフレッシュレートと描写されるグラフィックのフレームレートの乖離によりティアリングといった現象が発生する事がある。
 AMD FreeSync は描写されるグラフィックのフレームレートに合わせ、リアルタイムにディスプレイのリフレッシュレートを適応させることでシャッタリングやティアリングの発生を抑制する効果がある。

Virtual Screen Resolution

29_7870k_vsr
 VSR は仮想的に解像度を多くとり、ディスプレイが表示可能な実解像度へと高品位な縮小を行うことで可視領域を広く取ることの出来る技術。
 例えばソフトウェアには最大解像度が 4K の 3840×2160 として描画させ、実際の表示時には FullHD の 1920×1080 とする。すると、オブジェクトは小さく表示されるけど表示域が大幅に広くなる。見える物が増えるという事は、情報量も増すのでゲームなんかでは優位に立てる状況が多くなるだろう。もちろんそれなりに負荷も増すと思われる。
 また、上記資料の様に高解像度で繊細に描写された物を実解像度まで縮小することで、画質の向上もある。
 この機能は Catalyst Control Center の「マイ デジタル フラットパネル」の「プロパティ」にあると資料には記されているが、私の環境では表示が無いので試せない。
 (DVI 接続されたディスプレイを使用。ドライバパッケージバージョン 14.502.1028 を使用)

Asymmetric Rendering

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 iGPU とは別に dGPU として Radeon を搭載させる事で、オブジェクトは APU の iGPU に描写させ、背景などを dGPU 側で描写させることが出来る技術。
 2 つの GPU 別々で得意なところを処理させれば負荷を分散させてパフォーマンスが上がるような仕組みになる。
 いわゆる非対称な CrossFire となる。

Fluid Motion

 Kaveri で話題になったこの機能。動画再生時にフレーム間へ補完フレームを挿入しつつ 24fps から 60fps 再生することで、動画が非常に滑らかに見えるようになる技術。
 今では Windows8.1 上にて BlueskyFRC と言うフィルターを用いる事で、MPC-HC/BE など外部フィルタを用いることが出来るプレイヤーなら DXVA 経由の使用が可能となっている。(プレイヤーが再生に対応する形式で尚かつ 24fps ソースであれば H.264 や HEVC コーデックの MP4 でも Fluid Motion を使えると言う事)
 Windows7 である場合は PowerDVD 14 以降を用いる事で Blu-ray Disc のみ Fluid Motion が利用可能だ。
 「アニメをみるなら AMD」とのキャッチフレーズも出来たが、本当にコレ。Fluid Motion の為だけに APU 若しくは対応する GCN コアの Radeon を買うべき物である。

3DMark を用いたベンチマークと考察

 ベンチマークを行った環境は次の通り。
29_enviroment

 APU の性能評価にはぴったりだと思っているので、毎回これを使う事にしている。
 以前行った A10-7850K/7800 の結果がデータとして残っていたから A10-7870K の結果に入れ込むこととした。環境としても上記構成から APU のみ異なる環境である。しかし、使用している Catalyst のバージョンが OMEGA とそれ以前の物という感じに異なるので、単純に比較することは間違っていると思うからあくまで参考程度に受けとって貰いたい。傾向としての雰囲気は良く出ているスコアだが。
 (グラフ 1 本はちょっと寂しいので……)

 3DMark v1.5.893 を実行した結果は次の通り。
2015/07/05 追記 — スコアが全体的に高く出ているようなので本記事以外との比較は不適切と思われる。DDR3-2133 動作であるにもかかわらず、DDR3-2400 のスコアよりも高い部分が多く見られる。原因は良く分からず。

30_7870k_3dm_ice_storm
 DirectX9 相当の API で描画されるパート。DirectX9 は CPU や GPU のクロックが僅かだと大きな差が出づらいので、ほぼトントンなスコアとなっている。
 未だ DirectX9 をベースとしたゲーム (特に MMORPG) も多いので、このスコアも結構重要になってくる。

30_7870k_3dm_cloud_gate
 DirectX10 相当の API で描写される。ここから若干負荷も上がってくるのでスコアに差が出始める。Catalyst OMEGA による最適化も大きく響いてくる所だとも言える。

30_7870k_3dm_sky_diver
 DirectX11 をベースとして軽めの API で描写されている。ある程度のフレームレートと負荷も相まってこのパートが一番電力を消費した。

30_7870k_3dm_fire_strike
 DirectX11 をフルに用いた描写が行われるパート。スコア差が小さく見えなくもないが、ここは 1 ポイントの重みが大きいので実は差が大きい。
 最新世代の FPS なゲームは大体ここのスコアが重要になってくる。生憎 DirectX11 世代のゲームは所持していないし FPS とか苦手なのでゲームの実プレイは未経験。

 3DMark を実行中の消費電力推移は次の様になった。

30_7870K_3dm_Watts

 ぱっと見で全体のピークを見ると Ice Storm のパートで 116W の消費電力。最小は FireStrike の 79W となった。あくまで最大値と最小値のみを目視で確認しつつだったので、実際に滞在している消費電力値は最大の物よりも低い値で推移していた。
 PC 自体の構成がほぼ PC としての最小構成に近いことから、HDD や周辺器機などを増設することもあるだろうが、それでも電源ユニットは 200W もあれば充分だろう。
 話しは変わるが、最近遊んで居る ICARUS ONLINE というゲームをこの PC で起動したところ、消費電力が 133W と表示されていた。3DMark よりも電力が上がるゲームは余り見たことが無いから驚いた。

 A10-7800, A10-7850K に関する 3DMark 中の消費電力のデータは手元にあるが電源ユニットの違いや HDD の搭載数の違い等がある為、データとして入れ込むことをしていない。予めご了承を。

消費電力関連

 ベンチマーク中の消費電力については先にお伝えしたが、ここでは IDLE 時や CPU のみに負荷を与えた場合、CPU + iGPU 同時に負荷をかけた場合の消費電力を記しておく。
 IDLE は Windows8.1 が起動したあと何も触れずに放置させた状態での最小値付近を記録。
 CPU LOAD は IntelBurnTest を用いて Max Load な状況を作り、その時のピーク値を記録。
 CPU+iGPU は OCCT 4.4.1 を用いて PowerSupply のテストを実行した。

 IDLE : 28.7~30.1W
 CPU LOAD : 122W
 CPU+iGPU LOAD : 123~127W

 OCCT 実行後のグラフを見ると、CPU と iGPU への負荷が同時に高い状況になると、CPU の動作クロックが 3GHz に張り付いた状態が殆どであった。これは Kaveri 時代から話題になった現象である。恐らく TDP 枠内に上手く押さえ込むような工夫だと思われる。

その他気付いた事など

 ・GIGABYTE F2A88X-UP4 では cTDP 項目があるが、設定しても効かないので現時点では cTDP 非対応
 ・CPU のみに負荷を与えた時、CPU 温度は SuperI/O 経由の値で最大 40℃ であった。CPU クーラーに ASHURA を付けているのでオーバースペック気味の冷却ではあるが、思いの外発熱はキツくない。
 ・試しに Handbrake を用いた H.264 エンコードや HEVC エンコードを試してみたが、長時間の動作であっても CPU 温度が 43℃ あたりが限界だった。
 ・Core Unlock モデルだけに OverClock もやりたかったが、借用品であるしリスクある事は控えることにしたため断念。
 ・P-State が上がるほど幅の狭いクロック制御のようで、「1.7GHz – 2.4GHz – 3.0GHz – 3.5GHz – 3.7GHz – 3.8GHz – 3.9GHz」の順だった。Boost 時の Pb State に関しては未調査。
 ・BlueskyFRC を用いた Fluid Motion の利用は「モード 1」のみ有効だった。よってモード 2 の利用及び 30fps ソースに対しては Fluid Motion 対応の Radeon でなくてはならない。

A10-7870K 関連の写真

 記事のどこへ写真を持ってくるか悩んだ所だが、最後に付け加えることとした。

A10-7870K パッケージ。やや大きくなった感じがある。

A10-7870K パッケージ。やや大きくなった感じがある。


パッケージのラベル。QR コードやバーコードからこの APU のシリアルが特定出来ちゃうので処理済み。

パッケージのラベル。QR コードやバーコードからこの APU のシリアルが特定出来ちゃうので処理済み。


本体及び付属品。CPU クーラーが FX シリーズと同等な物に変更された。

本体及び付属品。CPU クーラーが FX シリーズと同等な物に変更された。


A10-7870K 本体ヒートスプレッダ側

A10-7870K 本体ヒートスプレッダ側


A10-7870K ピン配置

A10-7870K ピン配置


F2A88X-UP4 にマウントした図

F2A88X-UP4 にマウントした図


オーバースペックの阿修羅を乗せて。

オーバースペックの阿修羅を乗せて。

おわりに

 ここ最近はずっと A10-7800 を使用している為、A10-7870K に載せ替えた際には「ああ、速いな」と実感する場面も多かった。特に HEVC エンコードもやらせてみたが、およそ 1 時間かかるエンコードも A10-7870K なら 50 分を切る速度に上昇。TDP が 95W である事から消費電力は上昇必至なのだが、大幅に上がるわけでもないから各方面のコストパフォーマンスはグッと上がったと思う。なにより初値で 17,000 円台という事が素晴らしすぎる。
 今後、期待したい技術として VSR があるが使用に際する細かい条件など情報が出てきたら是非試したい。
 A10-7870K というプロセッサ 1 つで出来る様になる事が非常に多いから、じっくりと長く遊び倒せる物と思われる。

 私自身は財布の紐を嫁さんに握られているので、直ぐに購入という流れには至らなかったがなんとしてもこれは購入したい。そう思わせてくれる非常に良い出来に仕上がっていると思われる。ただ、現状 A10-7850K を使用している場合、ベストなアップグレードパスになるかと言えばちょっと二の足を踏む所だと思われるのが歯がゆいところ。
 とりあえず自身で購入次第、OverClock も含めた「遊び」が出来ればなと思う。

2015/06/01 14:01 初版
2015/06/01 19:30 3DMark 消費電力データに関してすこし追記。
2015/07/05 21:49 3DMark スコアに関して追記。
2015/07/21 17:55 AMD の資料画像から当サイトの Watermark を削除。

A10-7870K に関する別記事

A10-7870K メモリ速度別 3DMark の結果 2015/07/05
A10-7870K の OverClock を試す 2015/07/06

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