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A10-7870K の最初のレビュー時には諸事情により敢えて行わなかった OverClock (以下 OC)。今回はやっと試して遊ぶことが出来たので、OC の進め方や 3DMark を用いたベンチマークスコアを掲載して行こうと思う。
A10-7850K 以来の OC だったけど、残してあるデータを参考にしつつセッティングを進めてみた。Kaveri と Godavari では OC 耐性が全然違ったので驚くことも多く楽しむことが出来た。
※ OC は色々と問題が発生する事もあり、最悪の場合には何かしら壊れる事もある。充分注意した上で、自己責任の下に行うよう願いたい。
OverClock 前段階の準備
A10-7870K は定格だと 3.9GHz、Turbo 時に 4.1GHz 動作となる。OC 時には TurboCoreBoost (以下 TCB) を切るから Turbo 時のクロックは考えないので、定格を 3.9GHz とする。
A10-7850K の OC を検証していた時には 4.4GHz で Vcore を 1.4375V、Load Line Caribration (以下 LLC) は AUTO という設定が無難な OC 常用ラインだったと書いていた。(当時の記事)
それなら先ずは 4.4GHz に向かって Clock を上げて行こうと考えた。元々 TCB で 4.1GHz になるのだから、それよりも高い 4.2GHz スタートに。Vcore は 1.4000V スタートとしてみようと直感的に決めた。
LLC に関しては AUTO よりもある程度決め打ちした方が良いと感じたので Medium 固定とした。使用した GIGABYTE F2A88X-UP4 は Medium にすると、高負荷であっても非常に安定した電圧を供給してくれるからだ。それ以下だと電圧が少しおちるし、以上だと電圧が上がりすぎるから余り好きではない。
動作する Clock を安定させたい為、APM は切らなくてはならない。有効のままだと P-State がひとつ落ちたり戻ったりで安定しなくなる。OC 動作時には不安定要素になる。
OverClock と負荷テストの反復
実際に OC に入って行く。BIOS で APU の動作倍率を x42 として 4.2GHz にセット。LLC を Medium にして APM を Disable に。それ以外は弄らない。CnQ は Enable のままに IDLE 時の消費電力を抑えたいという我が侭 OC セッティングとする。
4.2GHz 1.4000V 動作で OS が正常起動する事を確認した後、高負荷テストを行って安定性の確認も行う。
高負荷テストには Prime95 を用いる。これは素数をひたすら計算するソフトなので CPU 部には通常使用ではあり得ない様な負荷が掛かる。
上記設定にて実行すると、Vcore が足りないだとか何かしら問題があると一瞬でフリーズするレベルの負荷が CPU 部とメモリに掛かる。OC 設定以外に冷却面も注意が必要だ。
この設定にて大体 20~30 分位放置して Prime95 の演算スレッドがエラーを出していないだとか、OS がフリーズしていないかの確認を行う。何かしらエラーがあれば Vcore を 0.01250V ずつあげてみる。0.00625V ずつ盛ってもいいけど面倒なだけだから最後の微調整以外では 0.01250V ずつで良いだろう。
Prime95 の動作中は CPU-Z や HWiNFO64 等のモニタリングソフトで APU の温度や Vcore、動作クロックを確認し、自分が想定している動作をしているかしっかり確認も行おう。
無事にエラー無しで Prime95 が暫く動く事を確認したら、次は 3DMark の Primary Test を行う。Prime95 でエラーが無くても 3DMark でフリーズする事もあり得るからだ。iGPU とメモリ周り、Physics では CPU に負荷といった感じに複合的な要因がある為と思われる。
3DMark も完走したら、その OC のセッティングは「安定した」と判断する事に決める。
あとは OC のセッティングを変えながら同じく Prime95, 3DMark と負荷テストを進めていくだけ。
4.2GHz 1.4000V が安定した次は 200MHz 上げた 4.4GHz。A10-7850K ではこれ以上だと Vcore 盛るのが嫌で止めた記憶がある。がしかし、この A10-7870K は 4.4GHz 1.4000V 設定であっさり起動して負荷テストも通過した。あっさり過ぎて驚いた。A10-7850K の時より Vcore が 0.0375V も低いにもかかわらずだからだ。
それならこの上もまだ行けるのかなと 4.6GHz で同じく 1.4000V 設定に設定した。これもあっさり起動して負荷テストも問題無く終了してしまった。こんなにあっさり 4.6GHz で動いてしまうのか…… と更なる驚き。
調子にのってそのまま 4.8GHz 1.4000V 設定。流石になんというか、BIOS の起動プロセスが終わった後、OS のローディングで停止。ならばと、Vcore を少しあげた 1.4125V。それでも OS 起動せず。1.4250V でも起動は無理で、1.43750V にて OS がやっと起動。しかし Prime95 を実行した瞬間 BSoD でフリーズ。1.4500V でも Prime95 でフリーズ、1.4750V まで盛ってもフリーズしたのでこれ以上は盛りたくないと思ったので止める事にした。恐らく 1.5V 前後の Vcore が必要だと思われるが、ちょっと危険なので……
4.6GHz から 4.8GHz の間に大きい壁が存在する。4.7GHz も試せば良かったが、既に充分な性能を見ていたからお腹いっぱいだった事もありやらず終いに。
最終的にうちの A10-7870K で OC する場合は 4.6GHz 1.4000V までが気軽に出来るラインと確定。Vcore を詰めるべく、1.3875V に落としたら Prime95 実行直後にフリーズしたので偶然にも 1.4000V がいい設定値だった様だ。心配性だから微妙に盛った 1.40625V と設定して今は常用させている。
3DMark を用いたベンチマーク結果と考察
数日前に取得した結果もデータとして入れ込んだ結果を貼っていく。CPU 部の OC では伸びの悪い箇所が多かったので、最終的には iGPU も 1,000MHz まで OC してみたりした。特に Vcore 以外に電圧を弄らずとも安定している。
PC スペックとしては大雑把に A10-7870K、CPU クーラーに Scythe 阿修羅、M/B は GIGABYTE F2A88X-UP4、メモリは DDR3-2400 4GBx2 の Radeon メモリ、SSD、HDDx2 と載せて PSU は 550W 80Plus Platinum の高効率電源になる。
Ice Storm
DirectX9 相当の描写が行われる。見ての通り CPU の動作 Clock が上がるほど iGPU の性能を引き出していく様にして全てのスコアが比例して上昇していく。最終的には 72,000 ポイントを越えるスコアをたたき出した。DX9 ベースのゲームは割りと快適になるのではなかろうか。
Cloud Gate
DirectX10 相当の描写になる。CPU だけの OC ではスコアの伸びが悪いように感じる。iGPU の OC をした方が良く伸びるから DirectX10 以降の API が用いられるゲームタイトルをプレイするのであれば、iGPU も合わせて OC した方がいいだろう。
Sky Diver
DirectX11 の中でも比較的軽いレベルの描写を行うとされているパート。APU の様なクラスのプロセッサで DX11 タイトルをプレイするのであれば、ここのスコアで他環境と比較するのが良いかも知れない。
スコアを見ると Ice Storm よりも Graphics のスコアが平坦になっている。GPU 性能が足を引っ張っているのではと考えられる。よって iGPU を OC した次第なのだが、一気に伸びたので DX11 対応タイトルをプレイするのであれば CPU を OC するよりも iGPU を OC した方が電力面に於いても良いだろう。
Fire Strike
DirectX11 をフルに使ったハイエンド環境用のパート。負荷が高いので APU ではカクカクだから負荷の高いゲームタイトルのプレイは難しいだろう。ある程度設定を落として遊ぶ必要がある。その際の負荷は Sky Diver のスコアが参考になる程度まで緩和されるだろう。
ここのスコアも Cloud Gate, Sky Diver 等と同様にして Graphics の伸びが CPU の OC だけでは悪い。iGPU も OC した方がスコアがより伸びる。
最終的にスコアが 1,700 を越えてしまった。これは今まで自身で使ってきた APU の中でも最高記録になる。さすがだと言わざるを得ない進化だ。
消費電力
OC では Vcore を上昇させることでプロセッサの動作を安定させているから、その分消費電力も増大してしまう。
定格で TDP95W と元が低いので OC させても FX シリーズの様に 300W を越えて来たりはしない。少し安心できるのもポイント。
OC した状態で Prime95 を用いて CPU に負荷をかけた場合のピーク値が 4.2GHz 1.4000V では 152W。4.4GHz 1.4000V では 158W となり、4.6GHz 1.40625V では 163W まで上昇した。
IDLE 時は P-State が遷移して Clock は 1.7GHz まで下がり低い電圧の出力を指示しているが、M/B 側の制御か VID を無視して 1.4000V を出し続けている。それでいても 45W 前後の消費電力でいられるから無負荷時の消費電力はグッと抑えられた。
おわりに
久々の手探り OC だったし、驚くこともあったから非常に楽しめた。4.6GHz 1.40625V で常用化できたとなると総合性能もさることながら、演算性能もある程度期待できてしまう。実際、Handbrake を用いた TS ファイルの H.264 エンコードも試してみたが、30 分ソースの番組を 19 分でエンコードできてしまった。少し前まで A10-7800 を使用していたが、その時は 24~25 分程度掛かっていたことから凄く速くなったと充分体感出来る程だ。
折角の Core Unlock モデルだから CPU だけとか iGPU だけだとか好みや目的に応じた OC をしてみることは充分にアリだろう。というかやったほうがより A10-7870K を活かせると思われる。
と、3DMark ばかりではなんなので Final Fantasy XIV のイシュガルドベンチマークの結果もひとつだけ付け加えておく。
設定は「最高設定」の「1920x1080 フルスクリーン」となる。
* 2015/07/08 10:51 若干の文字修正
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