WesternDigital – WD Blue SSD 1TB Review

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 この度、数々の HDD を輩出している WesternDigital より新たに登場した SSD である WD Blue SSD 1TB (WDS100T1B0A) をご提供頂いたのでレビューを執筆する事と相成った。
 この WD Blue SSD にはプレスリリースが出された当初より気にかけていた製品だった事と 128GB 以上の容量を持つ SSD を使用するのは初めてだったので、各種ベンチマークソフトの結果や用途について筆者なりの感想を書き連ねたいと思う。
 予め最初に断っておくべき事が 1 つあるのだが、それは AMD 環境なのでチップセットとの相性なのか公称スペック通りの結果は得られなかったという点だ。予めご了承頂きたい。
 → 新たに Ryzen 環境にて追試を行い、本来の性能を発揮した WD Blue SSD を見る事が出来た。気になる方は本記事末尾の追記をご覧頂きたい。

製品概要

パッケージ

 WesternDigital の HDD のように色でそのモデルの特長を表すようなイメージと仕上がっている。筆者は HDD を全て同社製品で揃えており、Blue, Green, Red と使用しているので、Blue といえば速度と連想する。

外観

スペック

 WD Blue SSD は 250GB, 500GB, 1TB と容量別に 3 製品から成る。容量が異なれば勿論、もっとも異なる箇所は耐久性を表す TBW だ。
 使用可能な NAND 型フラッシュメモリのセルが多い、即ち容量が多いと、ウェアレベリングで平均的にセルを用いれば 1 つあたりのセルの寿命も延びる為だ。今回は 1TB の SSD であるから耐久性としては 400TB まで書き込んでも大丈夫という事になる。
 アクセス速度に関しては 250GB のみ、ほんの少し低く 500GB と 1TB は容量と耐久性が異なるのみのスペックとなっている。
 3 製品全てで耐久性こそ異なるが、どれも同じ 3 年保証となっている。
wd_pdf1_8
 また、今回は分解 NG とされているので、中身を実際に覗くことは叶わなかったが、あちらこちらと探し回るとコントローラーは Marvell 88SS1074、NAND 型フラッシュメモリチップは SanDisk 製 15nm TLC となっている様だ。
 この TLC という物は 1 つのセルに 3bit の情報を保持出来るので比較的廉価な製品に採用されることが多くなってきた物だ。当然、1 つのセルに 1bit を保持する SLC2bit 保持する MLC よりもアクセス速度や耐久性の面で普通なら劣るハズなのだが、近年の技術の進歩により中でも MLC と変わらぬ速度、耐久性を有する様になりつつも廉価である事を保ついいとこ取りの記録方式である。
wd_pdf1_6
 この資料通りに行くと、製品として寿命が尽きた後でも使用可能である事を示す。1TB に至っては一般的な 10GB/days なんてヌルい使い方をしていると、理論的には人間よりも長生きする。
 先に「Blue と言えば速度を連想する」と書いたが、SSD に関しては高耐久である事も併せ持っているようだ。

ベンチマーク

 SSD などのストレージデバイスでは、製品がもつ読み書きと言った転送速度も大きな性能指標の一つである。その為、複数のベンチマークソフトを用いて WD Blue 1TB の速度を計測した。
 発熱に関してはここで先に書いてしまうが、室温 24 度の環境下においてベンチマークをひたすら行っても WD Blue が報告する温度は 29 度止まりで 30 度に到達しなかった。夏場の暑い時期でも恐らくこの分だと 40 度にも到達しない可能性があるので、冷却面に置いて不安は全く無し。

検証マシンスペック

CPUAMD FX-8350 (OC 4.3GHz)
MemCFD W3U1600HQ-4GB x4 (XMP 1866, Total 16GB)
M/BASUS SABERTOOTH 990FX R2.0 (BIOS 2901)
GPUSapphire NITRO+ RX470 4GD5
SSDTOSHIBA THNSNJ128GCSU (128GB MLC)
SSDWesternDigital – WD Blue SSD WDS100T1B0A (1TB TLC)
HDDWesternDigital WD10EFRX (1TB)
PSUCorsair CMPSU-850AX (850W GOLD)
CaseCorsair Obsidian 550D
OSMicrosoft Windows10 Pro (x64, Ver.1607, Build 14393.351)

 ※INTEL CPU 採用クライアントマシンは未所有

CrystalDiskMark

cdm_amd_standard

cdm_amd_ahci
 ※スクリーンショット中のドライブ名について正しくは WDS100T1B0A であり WBS~ はタイプミス

 筆者の AMD 環境では公称スペックである Seq.Read 545MB/s, Seq.Write 525MB/s にはほど遠い速度しか発揮出来なかった。
 これは昔から巷で言われている通りの現実であり、やはりチップセット内蔵の SATA コントローラーでは SSD の性能を発揮することは難しい様だ。いわゆる相性などと言われる物だろう。
 そこで、SATA コントローラードライバーを AMD の AHCI ドライバーに入れ替えて検証も行ったが、トータル的な性能に大きな差はでなかった。しかし、目立つところでは Queue 32 Thread 1 と負荷の高い方の Seq.Read/Write が速くなり、負荷の軽い Seq.Read が大きく落ち込んだ。
 この事から、AMD 環境にて高負荷時のスペックを優先するのであれば AMD Chipset Driver に含まれる AHCI ドライバーを用いた方が良いだろう。しかし大半において Windows10 標準 AHCI ドライバの方が良いだろうと思う。

AS SSD Benchmark

 こちらもまた定番の SSD 用ベンチマークソフトとなる。同様に AHCI ドライバーは AMD AHCI Driver と OS 標準 AHCI ドライバーの 2 パターンでデータを取得した。



 OS 標準 AHCI ドライバーでは何故か Seq.Read が大きく落ち込んだ。Compression-Benchmark のグラフを見る限りだと一環して読み込みの方が書き込みよりも速い状態が続いている。
 逆に AMD AHCI ドライバーでは一環して書き込みの方がどの圧縮率に置いても読み込み速度よりも速いグラフを描いた。

ATTO Disk Benchmark

 ATTO Disk Benchmark では 512Bytes から 64MB のデータセットでそれぞれ読み書きの速度を計測してくれる。データのサイズからして日常的なファイル操作で扱いやすい物だと思う。
 こちらは OS 標準 AHCI ドライバーのみのデータとする。AMD AHCI ドライバーでも同じ傾向を示した為である。

atto
 ぱっと見でデータサイズが 2MB になった所から読み込み速度がカクっと落ち込み、おおよそそれを保って推移した。今まで使用した SSD では、速度がピークを迎えるとそれを保ったまま 64MB の項まで行く為にこういった挙動を見るのは初めてだった。
 データが大きくなるほど、ドライブが持つスペックに近づくと思っていたがこれ如何に。

HDD から SSD へ移行する恩恵

 筆者なりに色々と考えると現状では、VMWare Player 上で動かす仮想マシンのイメージを SSD に載せ替えて用いる事が WD Blue SSD らしさを見ることが出来るかなと感じたので試してみた。特に大きな容量をもつ SSD でこそ活きてくると思われる。
 VMWare 上で Windows7 や Ubuntu, CentOS 等と必要に応じて起動させて普段使いのアプリをコンパイルしてみたり、運用しているサーバーのクローンを作って検証作業を行っていたりする。今までは 128GB の容量しかない SSD のみだった為、仮想マシンのイメージは全て HDD 上に置いていた。少ない物で 20GB、多い物は 100GB に達する為だ。

 まず Windows7 の入った仮想マシンのイメージを WD Blue にコピーして VMWare Player より起動。正常に起動することを確認した後に PassMark Rebooter を用いて OS の起動時間を 5 回計測して平均化した。HDD 上にイメージを置いた物も同様に計測して次のグラフに纏めた。
winboottime
 このテストではハッキリと体感出来る速度差が得られた。仮想マシンでなく実マシンを HDD から SSD に入れ替えた時とほぼ同等の感動である。

 次に Ubuntu 上で普段、動画のエンコードに用いている HandbrakeCLI.exe をクロスコンパイルするのにかかる時間も time コマンドにより計測を行った。
handbrake_compileonubuntu
 OS 起動のような膨大なプロセスがあるわけでは無いのだが、約 24 秒の高速化した。ただ、これが体感出来たかというとちょっと難しく、寧ろ Ubuntu 自体の起動速度が余りに早いので驚いた方が大きかった。

 おおよそこの 2 つのテストの様に、仮想マシンと言った大きなイメージファイルであっても耐久性の高い WD Blue SSD 上に置いてしまうことで、作業効率が半端無く上昇する。VMWare Player といった仮想環境を扱うのであれば是非とも導入したい所である。

WD SSD Dashboard で見る WD Blue

 WesternDigital 謹製の SSD ユーティリティーとして WD SSD Dashboard が公開されているので、別途オフィシャルサイトよりダウンロードを行ってインストールした。

WD Blue SSD
View product specification and support details for WD Blue SSD.

 ステータスでは容量や SMART 値から予測される寿命、温度、接続状態の確認を行うことが出来る。WD Blue 専用だけあって一般的なフリーウェアのステータス監視ツールよりも見やすく作られている。
wd_ssd_dashboard_1
 パフォーマンスではリアルタイムに読み書きする速度がグラフ化されて見られる。TRIM コマンドも手動で発効したりスケジュールを組むことも可能だ。ただ、TRIM に関しては Windows10 なので自動でよろしくやってくれる為、特に弄ることはしなかった。
wd_ssd_dashboard_2
 ツールではちょっと便利な機能も含まれる。ファームウェアアップデートでは WD Blue に搭載されているファームウェアをアップデート可能。
 Secure Erase と Sanitize は WD Blue を初期化する為に用いる。前者 Secure Erase は WD Blue をデータドライブとして使用している場合にデータを安全に消去できて、後者の Sanitize は Windows を起動するシステムドライブとして使用している場合、同様にデータを消去する為の物だ。
wd_ssd_dashboard_3
 更に S.M.A.R.T の項より「高度な詳細」を表示させた一番下には NAND に書き込んだデータ量が表示されており、その下に Total GB Write とも項目がある。GB 単位で表示されているが、この二つの数値の違いはデータ圧縮量によるものだろうか。どちらが 400TB に達したら寿命になるのか現時点ではちょっと分からず。SLC という項目も気になる
wd_ssd_dashboard_3_1

 設定では項目通りに SSD Dashboard 自体の更新通知やオプションとして Windows 起動時に共に Dashboard も起動するか否か、ファームウェアなどの更新があれば E-Mail で通知してくれるようなサービス設定も存在する。
wd_ssd_dashboard_4

その他ソフトウェア

 オフィシャルでは無いが、CPU-Z や GPU-Z といった物と並ぶ SSD-Z なるソフトが存在する。

SSD-Z 16.09.09b

 これを用いると WD Blue が今まで書き込んだデータ量をもっと手軽に確認することが出来たので最後に紹介しておく。SMART 値でいう上述の Total GB Write の値となる。
ssd-z
 今はまだベータ版ということで WD Blue 自体の細かいデータは含まれていないようだが、Bytes Written の項を見ると GiB 単位で SSD に書き込まれたデータ量が表示されている。
 念のため Cygwin より次のコマンドを打ち込むことで増分が GiB である事を確認した。

$ dd if=/dev/zero of=hoge2.tmp bs=1M count=2000
2000+0 レコード入力
2000+0 レコード出力
2097152000 bytes (2.1 GB, 2.0 GiB) copied, 3.07362 s, 682 MB/s
$

つまり 1GB のデータが書き込まれると 1 つカウントアップするので、筆者の手元にある WD Blue は初期値こそ見ていなかった物の、現状では 1,193GB 書き込まれたこととなる。

おわりに

 SSD の評価となると、どれも似たような評価方法になってしまう為に筆者なりの捻りを入れたデータや使用方法を試してみたが如何だっただろうか。
 何が一番悔しいかと言えば、分かってはいた物のチップセット内蔵の AHCI コントローラーに足を引っ張られてしまったことだろうか。更には Intel 入ってるマシンを持ち合わせていないので、性能を存分に出し切ることが出来なかったことも悔やまれる。
 物は試しにとオンボードの ASMedia 製コントローラーに接続したら Seq.Read 320MB/s と余計遅くなったのでどうしようも無い。
 ただ、SSD として体感速度に直結するランダムアクセス速度に関しては MLC タイプの SSD と同等若しくは状況によっては上回る部分も見られたので筆者個人としての問題はないが、大きなファイルでシーケンシャルなアクセス速度に重点を置く場合、筆者と同様な環境では WD Blue の性能を出し切れない可能性が高い点に注意が必要である。

 一昔前であれば TLC というだけで耐久性や速度面で MLC よりかなり劣った物であると認識していたが、今や耐久性も速度も MLC と遜色の無い性能を持ちつつ MLC タイプよりも廉価である点は大きな評価となるだろう。
 今後は HDD の様に WD Green SSD も発売されるが、同様により高速モデルとして WD Red SSD なんて製品も出てくると面白いかなと思った。

追記 – AMD A88X のコントローラーでもベンチ追試


 本記事では AMD SB950 というサウスブリッジに内蔵されたコントローラーで各種ベンチマークを実行したが、結果が振るわなかった為に AMD A88X を用いた APU 機にも接続して CrystalDiskMark と ATTO Disk Benchmark を実行した。
 結果としては SB950 の環境よりも速度が大きく低下してしまった。この為、やはり AMD のチップセットでは WD Blue SSD の性能を引き出すことは難しいだろう。

ファームウェア更新 (2017/01/19 追記)

 新ファームウェア X41100WD が WD SSD Dashboard より更新可能だったので、次の記事を掲載した。

WesternDigital "WD Blue SSD" に新ファームウェア提供開始
 本日になって気付いた事で、なんとなく WD SSD Dashboard を起動したところ、新しいファームウェアがあると表示されていた。  ...

AMD Ryzen 環境にて追試。本当の性能を垣間見た。

 初稿から半年が過ぎ、筆者個人の PC 環境がやっと AMD Ryzen へと移行した。
 真っ先に検証したのがこの WD Blue SSD の速度がどうなるのかと言うことだ。本当に心残りだったもので。
 
 まずはベンチマーク結果のスクリーンショットを見て頂きたい。

 既に領域の 60% ほどを使用してしまっているので、結果としては参考記録だが過去 AMD 990FX の SATA コントローラーでドライブしたよりも遙かに速い、WD Blue SSD 本来の性能を出してくれた。
 Read に関しては Q32T1 で 550MB/s 越え、Write も 490MB/s を越えてきている。何よりも 4k Q32T1 の速度向上にめざましい物がある。

 ATTO Disk Benchmark を見ても以前とったデータなら 2MB のデータセット以降で Read ががた落ちしてしまっていたが、今回は終始安定した速度を保ったままテストを終えている。

 使うマシンの環境に左右された結果とはなったが、Intel の CPU を採用したマシンや AMD であれば Ryzen 環境であれば WD Blue SSD の性能をフルに出し切ってくれる。
 下手するとシチュエーション次第では MLC NAND タイプの SSD よりも速度がでるので、今後は TLC だからと尻込みをする必要もないだろう。



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