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はじめに
未だ AMD Ryzen 7 3700X のレビューを書くためにデータを取ったりと検証中というステータスではあるが、メモリの動作に大きな改善があったのも Zen2 コアアーキテクチャの特長でもあったりするので先にメモリ OC に関する記事を載せてしまうことに。
OC メモリを更に OC して上手いこと CPU の性能を引き出せるようになればと手っ取り早く設定を行ってみた。
マシンスペック
使用メモリ
初代 Zen の時代に発売された DDR4-3200 CL14 で Samsung B-Die の選別チップが使用されたメモリ。購入当時はメモリの相場も高いことも相まって 33,000 円ちょいした一品。
今回 OC するに当たっては高かったし Samsung B-Die だし楽に行けたら良いなーと結構期待していた。
DRAM Calculator for Ryzen™ を使って設定
設定する CL 値などのファーストタイミングはレイテンシが DDR4-3200 CL14 と同等になるように設定したいが、細かい値をどうしていくか目星を付けるために手っ取り早く DRAM Calculator を使ってしまう。めちゃくちゃ便利なソフトである。
以下のページからダウンロードを行った。
DRAM Calculator を起動させたら Main タブの左上にある Processor~Motherboard まで設定を済ませ、R-XMP ボタンをクリックして Calculate SAFE をクリックする。Profile は多少緩い設定を吐く V2 に敢えてしている。
すると画面中程の tCL 以下が全て算出される。
今回、この中から赤枠で囲った項目のみを UEFI より設定していく事にした。要は電圧周りとファーストタイミングのみの設定で楽して OC したいという訳。
UEFI より OC 設定を行う
使用しているマザーボードは ASUS ROG Strix X570-F Gaming となる。UEFI に入ったら次のような感じに順次設定を行った。
D.O.C.P にしてメモリの XMP を読み込ませたまま DDR4-3733MHz にし、FCLK を 1,866MHz にした。
SoC を 1.1V、メモリの動作電圧を 1.39V、CLDO VDDG を 0.950V にセット。
メモリの動作タイミングを上から順に 16-17-17-17-36-60 まで入力。後は AUTO で楽をする。
なんでかタイミングを設定する画面の最下部に CLDO VDDP があったので 900 と打ち込む。これは単位が mV である為だ。これにより DRAM Calculator の指示通りの 0.9V 設定となる。
これにて OC 設定は完了。
Memtest86 を 1 周
個人的な考え方で Memtest86 は 1 周のみ行う。それ以上は半端なストレステストにしかならないからと考えている為。
「n 周目でエラーがでた」とか言うのは Prime95 や OCCT によるストレステストを実行すれば直ぐエラーで分かる事。
取り敢えず Memtest86 はノーエラーで一安心。
USB ブートの WinPE 環境で一次テスト
以前、当ブログで紹介した WinPE 上でストレステストを行うという物がある。
今回はそれを使用した。
USB ブートであればメモリエラーによってシステムファイルの破損など諸々を防止することが出来る。WinPE 自体の環境が壊れたら作成した ISO ファイルをまた USB メモリに書き込むだけで良いので楽ちん。
こちら、画像は無いが WinPE の USB メモリに組み込んだ HWiNFO を起動させたまま Prime95 にてプリセット Blend を 1 時間ほど実行させた。
結果的に Prime95 の Worker スレッドが死亡すると言うようなエラーも出なかった為、一次テストを無事に通過した。
Windows10 上で二次テスト
Windows 上でメモリテストを行う TestMem5 というソフトウェアが存在する。これが中々にメモリ負荷も高く、DRAM Calculator を作成した 1usmus 氏の作成したプリセットが配布されているので信頼度も高そうだ。
ということで実行した。
Single-Rank なメモリは 10Cycle が良いとか 1usmus 氏のドキュメントを読んだ気がしたので 10Cycle で素直にやっておいた。
開始から約 1 時間でテストはノーエラー。
メモリモジュール内蔵の温度センサーは IDLE 時の +10 度となる最大 47.5 度を示していた。
最終テストに OCCT
OCCT もバージョンが 5 になって日本語化されてテスト名が未だシックリ来ない感じがするが次のようなセッティングでテストを行う。
テストスケジュールで 1 時間連続実行とし、OCCT のデータセット大で他自動というセッティングとなる。
そしてこちらも何ら問題なく完走してくれた。
尚、完走時のメモリモジュール内蔵の温度センサーは最大 48.5 度となっていた。あまり高すぎてもアレなのでセンサーの付いているメモリを使っている場合はちょっと気にかけておくと良いかも知れない。
無事安定と見なす基準
メモリを OC したその設定でマシンが安定したと見なす基準は個々で異なる部分があると思うが、今回は Prime95 から TestMem5 と経て OCCT までと「念には念を」な慎重なテストを行ってみた。
この結果、全てにおいてエラーが無かった為、今回の設定を自分自身の中で「安定した」と判断することにした。
Prime95 か OCCT 何れか一方だけでも良いとは思う事もあるけど、やはり慎重に念には念をとなってしまう。
結局パフォーマンス的にどうなのか
DDR4-3200 から DDR4-3733 へと OC をした事による影響というのは体感出来ず、ベンチマークのスコアを見て初めて分かる程度にしかならなかった。
例えば FF XIV ベンチのスコアが 84 ポイント上がったとか、HEVC エンコの速度が 1FPS だけ上がったとか、x264 エンコで 5~6% 程度早くなったとかその程度。
もっとサブタイミングまで根詰めて調整すれば伸びる余地はあるが、時間的な物もあるし今後も更新されるであろう BIOS を更新する度に数値打ち込み直すのが面倒だしってのがあって手を付ける予定は現状無かったり。
おわりに
当初期待していた通り、ファーストタイミングと電圧だけの簡単な調整でサクッとメモリを DDR4-3733 CL16 動作と出来てしまった。
もっと苦労する物かなと腰を据えるつもりでいたので拍子抜けと言う奴で。
高いメモリを買っておいて良かったなと、今になって思うのであった。
追記
2019/10/26 17:30
DDR4-3200 の時は SoC を 1.05V に設定していたが、DDR4-3733 にした当初は 1.10V にしていた。
SoC 電圧を上げたことが原因で Cinebench R15 や R20 のマルチ等、全コアをフルに使うような場面で性能の低下が見られた為、電力制限 (PPT) に掛かってるのだろうと当たりを付けた。
その為、DDR4-3733 設定時でも SoC を 1.05V に落として上げた所スコアが元通り出るようになった。
メモリのストレステストも通ったので一安心。
メモリを OC する為に安定した動作には SoC 電圧を要する場合もあるが、上げすぎる度 CPU の性能を逆に落としてしまうケースもあるということで。
PBO で PPT, TDC, EDC をそれぞれ少し盛って上げれば良いんだろうけど極力 CPU は定格が良いのでなんとも。
Zen2 のチューニングは複雑で難しい……
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