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2012/08/01 日本 AMD 社で行われた勉強会へ行ってきた。
表題通り “APU ってなに” という状態のまま、詳しく調べること無く過ごしていた為に、
実際の所はどうなのかと気になったのも相まって参加応募。当選し無事参加。
“APU” という 3 文字を見た当初は “ALU” の派生か何かかな? と、
本来の “Accelerated Processing Unit” という意味とはかけ離れたイメージで今日に至った。
では実際にはどういう物なのか。当日の勉強会の流れに合わせて紹介して行こうと思う。
Session.1 – AMD ってどんな会社?
1969 年に Advanced Micro Devices 社 (以下 AMD) が設立。
2006 年には ATI を買収した。
以降、F1 フェラーリチームへの技術提供、家庭用ゲーム機へのカスタムプロセッサを提供。
初の 64bit プロセッサを発表する等、躍進を続けてきた。
個々に置いて大々的に広告を打つ手法を敢えて取らずに居るが、
様々な分野での実績を作る。
余談だが……
64bit プロセッサと言えば Opteron。2005 年あたりはどこかの IDC 勤務をしていたが、
“x86 サーバ = Opteron” という図式で検証環境からなにからと揃えていた。
上司にも 86 系なら Opteron がワットパフォーマンスが高いですよと推していた。
SunFire V20z なんてのが良く見た機種。
Session.2 – AMD ブランドについて
ここでは「そう言えばそうだ」と思うことは非常に印象強かった。
それは “CPU、GPU、Chipset の 3 つの重要なファクターを自社で持っている” という事。
Session.1 にある ATI を買収した事が、上手いこと関わってきている。
Session.3 – 時代は CPU から APU へ
Processing Unit を APU という呼び名とするまでには数々の進化があった。
最初期ではトランジスタのゲートを ON/OFF する事により演算を行い、
それを更に集積し、MPU (Micro Prosessing Unit) へと進化。
更に更に集積をしてやっと CPU と呼ばれるようになる。
更に CPU へ GPU を内包し、相互に作用し合い、より高速な演算結果を
ユーザへ提供するものが APU となる。
GPU を内包するメリットとしては CPU と GPU を結ぶバスを外部チップを介さず、内部で
完結するのでより遅延無く、高速で無駄の無いアクセスが可能になる。
また、APU は高速なグラフィック機能を内蔵しているので別途グラフィックカードを
“増設” する必要もない。
Session.4 – A-Series APU
実際に APU が持つ各機能の紹介になる。”こんな事も出来るの?” と初耳でピクッとなる事も。
Session.4-1 – AMD A シリーズ APU ラインナップ
Quad-Core であり、GPU として Radeon HD 6550D を搭載した A8 シリーズ。
Triple~Quad-Core であり、GPU として Radeon HD 6530D を搭載した A6 シリーズ。
Dual-Core で GPU に Radeon HD 6410D を搭載した A4 シリーズ。
大きく分けて 3 つのモデルがある。
動作クロックとしては
A8-3870K が 3.0GHz。3850 が 2.9GHz。3820 が 2.5GHz の 3 モデル。
A6-3670K が 2.7GHz。3650 が 2.6GHz。3500 が 2.1GHz の 3 モデル。
A4-3400 が 2.7GHz。3300 が 2.5GHz の 2 モデル。
合計 8 モデルで幅広いターゲット層をカバー出来るようになっている。
Session.4-2 – 次世代プロセッサ「APU」の特長
高い CPU 性能に加え、”ミドルレンジ帯” のグラフィックスが融合した物が APU。
既存のオンボードグラフィックスよりもずっと高い性能を持つので、より綺麗な
グラフィックを表示することが出来る。
“表示” と一言で言っても APU が持つ GPU が演算した結果を “表示” する事を指す。
また、既存の CPU + オンボードグラフィックスよりも優れた特長も持つ。
オンボードグラフィックスへデータを送るにあたり、CPU から一旦外へでて Chipset
に行く必要があった。当然 CPU 内部のバスよりも低速な経路を通るので性能が落ちる。
これが CPU と GPU が 1 つチップに載ることで、外にデータが出る必要性が無い。
よって、より高速で効率的。尚かつ外部のチップを動かさずに済むので省電力性に富む。
APU 内蔵のグラフィックス機能は現状で DirectX11 までサポートされている。
3D グラフィックを多用するゲームでは、高画質な出力を期待出来る。
しかし、あくまでミドルエンド止まりの性能なので、あまりに負荷の高いゲーム等では
快適に使えるかどうかは未知数である。適材適所という物があるので、拘りきる事も
無いかなと思うところではある。
Session.4-3 – 快適な PC ライフを AMD 独自の機能で
APU ではこういう事も出来るのか!? と、正直初耳で驚いた所でもある。
BIOS か “AMD VISION Control Center” という物での設定が必要になるそうだが、
APU を用いる事で、「ビデオエンハンスメント」や撮影した動画の「手ぶれ補正」他
省エネ機能もあると言う。
「ビデオエンハンスメント」は演算で行えるのも頷けるが、「手ぶれ補正」に関しては
どうやって補正するのかなと疑問が大きい。
具体的には動画の端が左右にぶれていた場合、外側に当たるデータ補正は何処を元に
するのか等と言う事。
とは言え、映像関係には疎いので上手いことよろしくやってくれるのかなと。
Session.4-4 – HSA 財団の設立
HSA とは “ヘテロジニアス・システム・アーキテクチャー” の略称。
さらに “ヘテロジニアス” の意味としては “異質の、異種の” になる様だ。
具体的には “CPU と GPU を併用するプログラム” を “同じ簡易さで”
プログラミング可能な環境を提供する事がこの財団の意図になる。
つまり、開発環境を整えれば更に APU としての資源が生きてくる事にもなる。
この財団には AMD 以外では ARM、IMAGINATION、MEDIATEK、TEXAS INSTRUMENTS
が参加しており、かなり幅広い環境をカバー出来そうだ。
Session.4-5 – 拡大するソフトウェアエコシステム
いわゆる GPU による演算の支援を受ける事により、より短時間でタスクを終了させる。
「ワットパフォーマンスが良いのでエコになる。」という解釈でいる。
近年では数ある主力なソフトウェアが続々と GPU 支援を実装している。
身近で体感出来るものなら「動画の再生支援」。ソフトウェアで言えば Adobe の
Flash。HTML5 を実装しているブラウザなど。
その他、意外なところで WinZIP という老舗圧縮ソフトも GPU 支援を使い、
より高速なアーカイブ作成を行うことが出来る。
CPU 単体性能よりも、ソフトウェアという環境次第にはなるが、APU は総合性能
と言えるだろう。
Session.5 質疑応答
Session.1 からの内容、及びその他の分野での質疑応答が行われた。
内容としては主に「CPU よりも GPU よりな内容」であり、GPU による支援を
受ける際に API は提供されているか否かや、サポートはあるのか等に及んだ。
そしてこれは避けられない事ではあるが、「どうしても Intel との比較」と
なることが多かった。Intel も同様に GPU をコアに載せるようになっている為だ。
性能面では AMD となるが、開発側から見た優位性は Intel にあるような印象だった。
Session.6 Thermal Engineering
いわゆる「熱」に関するエキスパートな方が講師に。メディアにも出ていない方だそうで
説明に使われたスライド等は撮影禁止とされた。
ノート PC で効率良く廃熱を行う為に用いられるヒートパイプのお話しや、
自分の頭が発熱しそうな感じの計算式に関するプレゼンがあった。
良く聞く単語としては TDP や Tj Max の 2 つが目に付いた。
TDP は普段から指標にする単語だが、Tj Max は考えたことが無かった。
“APU のダイ上に設置してあるいくつかの温度センサーの中で 1 番高い箇所の温度”
と聞いた。個人的にこの表記を目にすることがあるのは Windows 上のソフトにある
“CoreTemp” という物だけだった。気にかけていたのでこの話を聞けてすっきり。
Session.7 省電力機能に関して
主に APU の負荷を監視して P-State を変化させることで動作クロックを制御し、
消費電力を抑制しつつパフォーマンスを出す「省電力機能」となる。
P-State で身近な物だと、k10stat という制御ソフトを使っている方なら
ピンと来るかも知れない。
CPU の負荷率が X% 以下で、その負荷率である時間が Y ms であった場合に
State を移行させるような制御のやり方。
状態を正しく知り、効率良くクロック制御を行うことで省電力性を高める機能という
認識をしてみた。
また、機能としてではなく根本的にアルゴリズムを改善する努力の積み重ねにより
実現されている省電力性という物も多いそうだ。
おわりに
Session.6~7 に至ってはかなりコアな話しで、理解しきれない事も多かった。
分からないなりにも好奇心でじっくり聞いてみた感じとなってしまった。
全体を通して会場の雰囲気は非常によく、プレゼンを聞きやすい物があった。
日本 AMD 社として、今回の様な勉強会として一般のブロガーを対象とした
試みは初であったということで、記念すべき第一回に参加出来て光栄でした。
浅いところから深いところまで APU とは何か? という話しで有用な勉強会だった。
お土産いただきました
会場で深く見ていなかったんで、頂いたお土産を帰宅して覗いて「Oh!」となった。
APU である A8-3870K と SocketFM1 の MicroATX な M/B。
ボールペン、ノート、ダイチャームぽいキーホルダーにポケットティッシュ。
WinZIP Pro の登録コードと MediaShow Espresso 5.5 のメディア。
これら一式で APU を遊び倒せる物だった。
次回予告
頂いたお土産で APU の魅力を体感し、記事にしようと思う。
少しパーツを買いたす必要があるので 1 週間後を目安に環境を作ろうと思う。
内容としては GPU 支援を体感する物として、頂いた WinZIP や MediaShow を
使うのは勿論の事とし、更に何かを考えて遊び倒してみようかなと。
2012/08/11 続きの記事を書きました。
APU を実際に使ってみた [基本編]
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