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はじめに
2018/02/13 10:00 に販売解禁された Raven Ridge こと Ryzen 5 2400G。
ちょうどその時間は出先だったのでスマホでポチポチしながら在庫あるお店を探しつつ速攻でポチってみた。
載せ替えに関しては先日掲載した記事を参照してほしい。
本記事では数こそ少ないが、実際に採取したベンチマークや消費電力に関するデータを掲載する事でレビューとしたい。
また、記事中のデータではメモリ速度が異なる物もあるので、その時々で注釈をいれる事とする。
マシンスペック
ベンチマークを行った時点での PC スペックは次の通り。
サブマシンの用途は主に PT2 を用いた地デジの録画となるので HDD が多め。この点が後述する IDLE 時消費電力に関係することとなる。
3DMark
定番の 3DMark。GPU 性能に加えて CPU 性能の指標にもなる為、1 本で 2 度美味しいベンチマークソフトだと思っている。
今回は特に OC をした使い方をする予定もないので Ryzen 5 2400G は定格、メモリは OC して DDR4-2933 で実行した。
Ice Storm
DirectX 9 レベルの API を用いた描写となるので、同様に DirectX 9 を採用したゲームタイトルの指標となりやすい。
Cloud Gate
DirectX 10 レベルの API を用いた描写になる。こちらは現在、あまり使われているというお話しを筆者個人として聞かないし見る事も無い。
Sky Diver
DirectX 11 のなかでも比較的軽量な API を用いて描写される。
Fire Strike
DirectX 11 をフルに用いた描写が行われる。比較的重めではあるが、グラフィクスが綺麗なのも特徴的。
現在かなり多くのタイトルが採用している DirectX 11 となるのでなにかと指標となりやすい。
筆者は何かと言えばこの Fire Strike の各スコアを凄い気にする人間なのだが、このスコアには非常に満足出来るものであると言える。
Time Spy
最新の DirectX 12 を用いた描写。DirectX 12 というとローレベルな制御を行うので緻密で高速な描写と思う所だが、その実結構重い。完全にネイティブな対応ではないという所があるからかもしれないが。
採用タイトルは今後増えてくる所かなと思われる。
CINEBENCH R15
3D なレンダリングを演算処理する事でスコアを算出してくれるベンチマークソフト。
現在ではもはや定番となっているようだ。
Single 155cb, Multi 804cb というスコアになった。Intel i7-3770 を抑え i7-4770K に肉薄するスコアを叩きだしている。
参考までに筆者が昨年までメインマシンで使っていた AMD FX-8350 は 4.3GHz に OC した状態で Single 105cb, Multi 697cb だった。$199 の FX-8350 に対して $30 安い Ryzen 5 2400G の方がグッと性能も上がりつつ、更に GPU まで内蔵しちゃっている等という時代の流れに凄みを感じる。
PSO2 Benchmark
こちらはオフィシャルのベンチマークソフトが公開されているのでなんとなく流れで実行してみた。
どちらも実行中はわりと滑らかな動作をしていたようだが、プリセット 6 だと実際にはカツカツになりそうな感じもする。
CPU-Z Benchmark
少し前のバージョンからベンチマーク機能の付いた CPU-Z。こちらの Benchmark を回してみた。
比較対象として一番近い物を探すと Intel i7-4790K が該当した。2 倍くらい値段のする CPU に近い性能とかコスパが光る。
Ryzen 5 2400G の温度
Ryzen 5 2400G を速攻から割りしたと言う情報からソルダリングではなくグリスであると分かっていた。
よって発熱具合も気になってくるからデータを取ってみた。
先ずは 3DMark Fire Strike 実行中のデータ。こちらはゲームプレイ中の発熱具合に似た状況となる場合も多いので参考になりやすいかと思う。
3DMark は Advanced Edition を購入しているのでこの様に実行中のステータスが見やすくなっている。
これによると CPU 側はピーク 55℃ と表示されている。もっと長時間動作させれば更に上がるかも知れないが、負荷に緩急があるような状態であればおおよそこの様な温度になるかと思われる。
余談だが過去の APU と同様に Graphics Test 中は CPU の動作クロックが低くなっている。グラフから読み取りづらいが 1,600MHz になっていた。これで CPU と iGPU の負荷からバランスを取って TDP 内に収まるよう、調整しているのだろうかと思われる。反面、CPU をフルに使う Physics Test 中は約 3.8GHz までクロックが上がったまま動いてくれている。クロック制御もイイ感じだ。
次に IntelBurnTest という Linpack 系の高負荷を与えるソフトウェアにてプリセット VeryHigh を 10 周させた時のピーク温度は 71.3℃ となった。これが恐らく筆者環境で発熱しうる最高温度。
CPU クーラーが Scythe 阿修羅と割と冷えると定番だった物を流用して使っているが、それでも 70℃ を越えてきてしまった。この程度で収まるだけ良しとするか、更に冷やしたいなら簡易水冷に行くべきかという所だろうか。(殻割りは選択肢に無い)
折角コスパ良好な APU なのでこれ以上冷却面でお金はかけたくないかなと思う。取り敢えずリテールクーラーよりは冷えると思うので良しとしよう。
書き忘れたが IDLE 時の温度は室温 25℃ の環境下にて 26.5℃ を示していた。
消費電力を見る
サンワサプライのワットモニター TAP-TST7 で消費電力を観察した。
Windows10 をクリーンインストール直後、ドライバーのみを入れた環境では IDLE 41W。
Windows10 をクリーンインストール後、常用環境に作り上げて裏でソフトが多少なり動いている状態の IDLE で 45W となった。
これらに加え IntelBurnTest VeryHigh を 10 周させているときのピークは 124W となった。これは筆者環境にて Ryzen 5 2400G が消費しうる最大の消費電力になるだろうと推測する。
実用的なシチュエーションとして 3DMark FireStrike を実行中の消費電力も観察してみたがピークは 95W となり 100W を割ってきた。ワットパフォーマンスが素晴らしい。
ちなみに筆者環境では冒頭に示したスペック表通りに HDD を 3 台乗せているので、これらを外して SSD のみとすればおおよそ HDD 1 台 4W 換算として 12W の削減が出来る。その時の IDLE 消費電力は 29~30W あたりになるだろうと思われる。
割と安心して起動したまま放っておける消費電力だ。
以上の文字だけでは見づらいので別途グラフを追加 (2018/03/01)
メモリ速度別パフォーマンス比較
Ryzen 5 2400G 購入から暫くして使用しているメモリを G.Skill F4-3600C19-8GSXW (Hynix M-die) に交換し、DDR4-3200 動作で安定したのでその時に採取したメモリクロック別の 3DMark FireStrike のスコアを掲載しておく。
かなり無理をして DDR4-3466 でまで完走する事が出来たのでデータを入れ込んでは居る物の常用は無理ぽいので参考程度に。
より現実的なラインでより高クロックを狙うなら同 G.Skill の F4-3200C14D-16GFX あたりが良いだろう。
やはり APU というだけあってメインメモリの動作速度に比例して Graphics スコアが伸びていく。
Physics スコアも APU は CCX が 1 つなので CCX 跨ぎが無く Summit Ridge ほど顕著では無いが CPU 性能も微増していると見て取れる。
Ryzen 5 2400G ではメモリが速いほど正義という事となる。ここは是非オフィシャルにサポートされている DDR4-2933 は狙っておきたいところ。DDR4-2133 だけはちょっと勿体ないかなーと思ってしまう。
メモリ周りのチューニングの注意点
既に稼働しているメインマシンの Summit Ridge な Ryzen では、メモリ速度を上げるときに SoC 電圧も盛ってあげつつ、適切な電圧を調整して上げた。
現状 DDR4-3200 で SoC 1.05V としているがこれと同じ数値を Ryzen 5 2400G で与えてしまうと電圧が低すぎて速攻ブラックアウトしてしまう。
Ryzen 5 2400G では SoC 電圧の影響する範囲が iGPU にまで広がっていることが原因であると筆者は考えて居る。
マザーボードで Auto 設定だと指定される 1.15V を「高いな」と感じていたが実はこれが適正だった。
下手に電力削減目的で SoC 電圧を削ると不安定になるので、ここは素直に 1.15V とした。メモリの動作速度をもっと上げるだとか iGPU を OC すると言う時にはこの SoC 電圧を 1.20~1.25V 程度までなら上げても大丈夫との事。この辺はググると海外のフォーラムで色々と言及されているので参考にされたい。
UMA Frame Buffer Size の割り当て (2018/02/27 追記)
コメントに情報をご提供いただき、実際に試したら結構な効果があったので追記とする。(Special Thanks To Macchky さん)
該当する設定項目は MSI のマザーボードだと UEFI より「Settings > Advanced > Integrated Graphics Configuration」以下に存在する。
既に設定済のスクリーンショットだが、デフォルトでは 256MB が選択されていた。以前から気にはなっていたが、足りない部分はメインメモリから拝借してくれる物かと思っていたり。
UMA Frame Buffer Size を 2GB に設定するとハードウェア予約済として 2GB が差し引かれた状態になる。メインメモリが 2GB 減るという事だ。
つまりメインメモリが 8GB の場合では OS の使用できるメモリ領域は 6GB になってしまう。これだと厳しい物があると思うので是非 16GB 以上のメモリを積んでおきたい。ないしは UMA Frame Buffer Size として 512MB や 1GB と調整してみるのも手だろう。
次のグラフは UMA Frame Buffer Size がデフォルトとしていた 256MB と 2GB に設定した後の比較グラフ。
後者 2GB 設定では OS の環境が異なり、バックグラウンドプロセスの多い実環境になっているので Physics スコアが低くでたりブレが出た。その為 3 回実行した平均値で掲載している。予めご了承を。
UMA Frame Buffer Size を 256MB と 2GB で比較すると筆者環境ではメモリ速度を 266MHz 上昇させた物よりも大きなパフォーマンスアップを確認出来た。
Graphics スコアが +104 というのは FireStrike に於いては割と大きな差かと思うので、実際のゲームなどでは差を体感する事も出来るかと思う。
メモリに余裕がある場合には是非 UMA Frame Buffer Size を 2GB にしてみると良いだろう。当然メモリ速度も速い方が良い。
おわりに
A10-7870K だったサブマシンが Ryzen 5 2400G になる事でそれは凄いパフォーマンスアップを果たしてしまい、昨年までメインマシンだった FX-8350@4.3GHz よりも演算性能が上になってしまうという良く分からない状況に。
それでいて iGPU は Radeon RX550, GeForce なら GT 1030 相当だとかなんとか。
日本国内販売額も現在 21,390 円ほどと MSRP $169 の製品としては相当頑張ってくれた値付けだ。
これらが相まって Ryzen 5 2400G もそうだし 2200G もこれさえあればローエンド~ミドルクラス帯は AMD で決まりなんじゃないかと見せつけられる物を強く感じた。
筆者個人としては満足度は限りなく 100% に近い。100% と言いたいけど言ってしまうと将来的に出るであろう次期モデルで記事を書くときに困っちゃうので敢えてそうは断言しないでおく。
コメント
APUのGPUへの割当メモリ増やすと(最大2GB?)かなりグラフィックのスコアが上がるようですね
メインメモリから割り当てる VRAM を増やすとスコアが上がるというお話しはしりませんでした!
ちょっと時間あるときに試してみたいと思います。結果が目に見えて分かるような上昇率だと面白い事になりそうですね。
情報どうもありがとうございました!
先程実際に試してみた所、デフォルトでは 256MB 割り当てという非常に小さな値でした。これを 2GB と割り当てたところ FireStrike の Graphics スコアが 100 程度増加しました。
これはメモリ速度を 266MHz 上昇させるのと大体同じ位の上昇幅なので、効果はとても大きいですね。
ただし割り当てたメモリがハードウェア予約として完全に持って行かれるので、PC に搭載しているメモリには余裕が必要そうです。
幸いにも分不相応に 16GB 積んでいたので 2GB 持って行かれても 14GB 使えるからこのままの設定で使っていこうと思います。
実際のゲームだとメモリ不足が無くなるのでいいみたいです
この人が試していました
https://www.youtube.com/watch?v=H1FUKgOh1pM
ついにAPUもここまできたんですね。
750tiのFireStrike Graphicsが4200程度、ocして5000程度なのでAPUのSPがもう少し増えるか、奇跡的に4ch対応とかになればライトゲーマーの完全な選択肢になりそう
地味にcpuの性能がえげつない・・・w