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はじめに
2020/11/6 19:00 に Zen 3 コアアーキテクチャを採用したコードネーム Vermeer の Ryzen™ 5000 シリーズが発売された。
当初は Ryzen™ 9 5900X をと考えていたが、発売日当日に予算的余裕から思い切って最上位の Ryzen™ 9 5950X をオンラインショップで注文してしまった。
そして紆余曲折を経て 2020/12/26 より稼働開始。1 週間と少し使い倒してみたので、ベンチマーク結果を絡めつつレビューをしてみたい。
Ryzen™ 9 5950X のスペック
Ryzen™ 9 5950X は 8 コア 16 スレッドの CCD (Core Complex Die) を 2 つ搭載することで 16 コア 32 スレッドを実現している。
公称の動作周波数は 3.4GHz から CPB (Core Performance Boost) によって 4.9GHz までブーストされる。
Zen 3 コアアーキテクチャは Zen 2 コアアーキテクチャと比べ 19% の IPC 向上と共に電力効率も向上しているため、既存の Ryzen™ 9 シリーズよりも性能が上がりつつ TDP は 105W に収まっているのが素晴らしいポイントだ。
パッケージと同梱品
Ryzen™ 9 3000 シリーズは重厚なパッケージが採用されていたが、今回は Ryzen™ 7 3000 シリーズと同様なパッケージに変更された。
箱のトップには簡単にスペックと、別途 dGPU が必要である旨も記載されていた。
同梱内容はこれだけ。CPU クーラーは付属しないので別途用意しておく必要があるので要注意。
パッケージを開けてヒートスプレッダの刻印を見るとアメリカと台湾で前工程が行われ、中国で後工程が行われた個体と分かる。製造されたのは 2020 年の第 48 週 (2020/11/23~11/29) のようだ。
PC スペック紹介
次の項よりベンチマーク結果を掲載していくが、実行したマシンのスペックをここで紹介。
Ryzen™ 9 5950X はクロック周りも電圧周りも定格。PBO も未使用という設定に。
メモリに関しては DDR4-3733 CL16-16-16-16-32-48-288 という感じに手動で OC している。
おおよそハイエンドと呼べるだけのマシンになった。
ベンチマークをやってみる
今回行ったベンチマークは 3DMark と Cinebench R15 に同 R20, R23、FinalFantasy XIV ShadowBringers Benchmark となる。
Cinebench R23 以外は比較対象として筆者が過去に使用していた Ryzen™ 7 1700X と Ryzen™ 9 3700X, Ryzen™ 9 3900X のデータも入れ込んでみた。基本的には CPU が異なる点と dGPU が Radeon RX470 だったという 2 点が差異となる。
3DMark
言わずと知れた 3DMark。基本的にはグラフィック性能を含めゲーミング関連の指標になる様なベンチマークだが、CPU 性能に左右される Physics や CPU Test という項目があるので、その部分だけ見て頂ければと思う。
Fire Strike
今となっては軽め (?) になるかもしれない DirectX 11 を用いた描写を行うベンチマーク。
CPU 単体の性能を示すのは Physics となる。
Time Spy
DirectX 12 という現行最新の API を用いた描写を行うベンチマーク。
CPU 単体性能を示す項はそのまま CPU Test という部分になる。
Fire Strike の Physics では Ryzen™ 9 3900X 比で約 1.3 倍の伸びを見せた Ryzen™ 9 5950X だが、こちら Time Spy の CPU Test では 1.16 倍の伸び率に留まっていた。
Cinebench
R15
最近の CPU にとっては負荷も軽くスコアもブレやすい為、あまり使われない感じになってきた R15 の結果。
コア数半分の Ryzen™ 7 3700X 比でマルチが 2 倍以上伸びているのが凄いところ。
特に目にしたいのはシングルスレッドの結果。Zen 2 コアアーキテクチャな Ryzen™ と比べると約 1.29 倍にも上昇している所はもう感動するばかり。IPC 19% アップで実アプリがここまで伸びるのか―― と。
R20
R15 よりも負荷が高く、時間も掛かるようになったのがこの R20。
マルチの結果が定格でもあっさりと 10,000pts を超えてきてニヤけた部分でもある。大台に乗れるのは嬉しい限りで。
R23
現行最新の Cinebench が R23 となる。初期設定では 10 分ほど実行し続ける感じになるが、時間がかかるので 1 発テストとした。
今回が初実行だった為、グラフにするまでも無く結果のスクリーンショットをペタリと。
この数値が良いのか悪いのかという判断が今のところは付かないので「こんなもんか」で留めておくこととする。
FinalFantasy XIV Shadow Bringers
FinalFantasy オフィシャルのベンチマークでゲームをプレイする上ではこのベンチスコアが指標になる様だ。
そもそも dGPU が前世代までのマシンと異なっているので、このスコアの伸びが CPU による物なのか dGPU による物なのか、それとも両方が要因なのか非常に分かりづらくなってしまった。
あくまで参考数値として留めたい。
発熱及び消費電力に関して
どんな CPU であっても使っていく上で付き合わなければいけないのが発熱や消費電力。
Ryzen™ 9 5950X では一体どんな物なのかと色々負荷を掛けてデータを取ってみた。
CPU 単体の高負荷時に於ける温度とシステム消費電力
過去に掲載した Ryzen™ 関連レビュー記事では CPU 単体の高負荷状態を作るために IntelBurnTest というソフトウェアを用いていたが、今回使用した Ryzen™ 9 5950X ではシステム消費電力がピークを示さない結果となった。
その為、色々なソフトウェアを試した結果、OCCT 7.2.3 の「データセット(大)、命令セット AVX2」が最も高いシステム消費電力を示したのでこれを採用。
しかし、CPU 温度は OCCT だと不足気味であった為、こちらもまた色々試した結果 IntelBurnTest のプロファイル VeryHigh を実行後の CPU 温度 (Tdie) を採用することになった。
結果としては同じ TDP 105W である Ryzen™ 9 3900X を 20W 下回る 235W が Ryzen™ 9 5950X が定格で消費しうるシステム消費電力になると分かった。
シチュエーション別システム消費電力
3DMark Fire Strike 実行中のシステム消費電力は、おおよそゲームプレイ中の物として見ることが出来ると思う。
今回使用している dGPU である Radeon RX580 は余りワットパフォーマンスが宜しくない感じとなり、突出してしまった感じがある。
CPU 単体負荷は先の項と同一データとなる。
気になったのは IDLE 時のもの。58~67W 程度で収まっていたところにいきなり 86W の Ryzen™ 9 5950X が入り込んだ。マザーボードも同時に変えたので、そこに原因があるかも知れないし、普通に 5950X が高めと出ているのかも知れない。
ワットパフォーマンスを見る
Ryzen™ 7 1700X のレビューを行った辺りから計算しだしたワットパフォーマンスを数値化してみる企画。
Cinebench R15 マルチのスコアを CPU 単体のシステム消費電力で割った物がそれ。値が大きい方がワッパが良いという事になる。
ワットパフォーマンスがかなり良いと思っていた Ryzen™ 9 3900X の更に 1.46 倍が Ryzen™ 9 5950X という結果になった。
電力効率が上がったというのは伊達では無かった様でとてもエコである。
Ryzen™ 9 5950X の使用感
Zen 2 コアアーキテクチャと比べるとシングルスレッド性能が向上している事もあり、ソフトウェアの起動やちょっとした処理の機敏さが目立つ。
マルチスレッド性能に関しては Ryzen™ 9 3900X と比べても性能差の分かりづらい所もあったが、RAW 現像や動画エンコード、仮想マシンを動作させたときには歴然たる差が出る。
特に動画エンコード。Amatsukaze を用いて録画した番組を 2 本並列で H.264 エンコードしているが、これが 2 本で合計 500fps を超えるようになったこと。HEVC エンコードでは AviSynth+ のフィルタを通した物が 33fps 前後から 40fps 程度まで上昇した事。と、これらが体感出来るめざましい性能向上だった。
ともあれシングルスレッド性能をも持ち合わせた 16 コア 32 スレッドの破壊力は凄まじい物があった。
性能に関しての満足感もさることながら、Ryzen™ シリーズ最上位の CPU を持っているという所有感をも満たしてくれる良い CPU だと思われる。
おわりに
Ryzen™ 9 3900X 購入から 1 年経たずして今度は最上位の Ryzen™ 9 5950X を購入してしまった。
その為、次期 (若しくはそれ以降の) Ryzen™ シリーズへ手を出すにも性格的にコア数を落とせなくなるので、今からお金の心配をしてしまうという事態に。
しかし、現行では何をするにもホームユース向けでは困る事が無い性能なので、しっかりと堪能して酷使していきたい物である。
日本国内販売額は基本的に 106,480 円となっているが、転売による高値が付いている状態が続いている。供給が追いついてない感じだが、早いところ潤沢な状態になって欲しい所だ。
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