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はじめに
「鼻毛鯖」こと NEC Express5800/S70 タイプ PJ は 2012/01/26 に 12,800 円で購入後、Linux サーバー機として今でも現役稼働中である。このブログも鼻毛鯖運用だ。
初期の Pentium G6950 は購入から 2 年ちょっと経った 2014/04 に Core i3-550 へ交換した。
以後、8 年間はシステムドライブを SSD に入れ替えたくらいで特にハード的な変更も無く、ただただ稼働を続けてくれていた。
CPU 交換とメモリ増設を試みる
ここ数年は表向きに MTA や DNS、Web 系としては WordPress や NextCloud を稼働させ、内部向けとしては DHCP や DNS 等々と要塞化したままで CPU 性能が不足気味。
特に暗号化機能を多用する昨今、AES-NI という暗号化と復号を高速化する拡張命令はどうしても欲しい。
データベースを使う物も多いのでメモリも少し増やせば余裕を持って稼働できるかなと考え始めた。
CPU とメモリの選定
ヤフオク、PayPay フリマ、メルカリ辺りをしらみつぶしに探しつつ、あまり知識の無い Intel CPU なもんだからスペックシートを調べたりして結構時間をかけた選定となった。
結果として CPU は AES-NI 対応で iGPU 有りの Core i5-680 に。i5-700 系や i7-800 系では iGPU が無いそうで別途グラボが必要になるから NG。特に i5-700 系は AES-NI も無しだから選択肢から外れる。
メモリは今まで載せている Elixir チップと同じ物が良いということでこれを探しておいた。
ちなみに 2Gx2 + 4GBx2 の 12GB という変則的に感じる構成となっているので、気持ちよく 4GBx4 にしたいという思いもあったり。
集めたアイテム
そして今回、鼻毛鯖をアップグレードするために購入した物は次の 3 点。
- Intel Core i5-680 (約 1,200 円)
- Elixir DDR3-1600 4GBx2 (約 1,200 円)
- AINEX BS-1156A LGA1156 用バックプレート (約 600 円)
以上 3,000 円という低コストになった。
AINEX のバックプレートはプッシュピンだと固定に不安を感じているので、いずれは導入したいと思っていたから丁度良い機会となった。
パーツ交換作業をやっていく
Core i5-680 の現物。LGA の CPU は本当に久しぶり。
鼻毛鯖の電源を落としてサービス稼働停止とし、側板を開けていく。
CPU クーラーを外すとき、プッシュピンをヒネるのに電源ユニットが邪魔だったのでこれを取り外した。
今まで安定稼働を続けてくれていた i3-550 を撤去。i5-680 に載せ替えた。
次にバックプレート取り付けかなと思うところだが、ちょっと横道にそれてメモリを交換しておいた。
そしていつも通りにマスキング塗りをキメた。グリスは猫グリスを使用。
ここから AINEX のバックプレート取り付けにうつるが、マザーボードを取り外さなければならない。
一般的な PC ケースであればマザーボード裏にメンテナンスホールがあるのでそこまで手間は掛からないだろうが、これは鼻毛鯖。そういうメンテナンスは考慮されていない。
面倒臭いなぁと思いながらも配線を外してマザーボード裏面からプレートをあてがってみた。
しっかりズレなく使えることを確認の後、バックプレート付属のネジとスプリング、E リングを鼻毛鯖デフォの CPU クーラーに取り付ける。
ネジにスプリングを通し、CPU クーラーの固定穴にネジの先端を通した後、E リングを添えてペンチで挟み込み固定した。
マザーボードをケースから出した状態でバックプレートをテープでズレないように仮止めし、CPU クーラーを載せて 4 箇所を対角に少しずつ締めていって固定をする。
ネジは全て締め切っちゃって問題は無かった。最終的にはバネのテンションがよろしくやってくれるだろう。
お掃除も
フロントベゼルやリア/フロント両ファンなんて滅多に掃除出来ない物だからこの際に掃除してしまうことに。
特にフロントファンなんて購入後、初の掃除かもしれない……
ちょっとビビりながら外したらやはり滅茶苦茶汚かった。
リアファンはそれほどでも無かったけど一応取り外して掃除しておいた。
また、リアファンは 4 本の線がばらけていて見た目にも「なんかなー」だったんで、細いスパイラルチューブでスパイラルしておいた。
組み上がりの図
あとは SATA 電源を繋いでフロントファンを繋ぐという場面の一枚。
今回を以て ODD は不要と思い配線は外しておく事にしたから上の方はスッキリ。
これでも 10.5 年前の物なんだなーと思うと感慨深い物がある。
機動チェック
鼻毛鯖は POST 時に F2 キーを押すと BIOS に入るので予め連打しておいた。
これでヨシと思うもトラブルが発生するのである。
メモリ不良?
BIOS で認識していた癖に再度電源を入れたら POST せず。
切り分けするにも今回変更された部位は CPU とメモリ。取り敢えずメモリから抜き差しするかなと。
今回購入したメモリを抜くと起動する。差すと起動したりしなかったり。
OS である CentOS 起動にこぎ着けても数分経つと kernel panic を起こしてウンともスンとも言わなくなる。
Memtest どうの以前のお話しに。
それならばと元のメモリ構成である 4GBx2 + 2GBx2 の 12GB に戻すと何事も無く安定動作する。
ということで、せっかく購入したメモリだけどいきなりお蔵入りになってしまった。無念。
DDR3-1333 メモリと DDR3-1600 メモリの混在というのもあるしモジュールのランクも異なるので相性的な何かがあるのだろう。
この程度の速度ならそこまでシビアじゃ無くても行けそうかなと甘く見ていた感じなので、そこは反省。
CPU のみアップグレードだけど無事に正常動作
結果として CPU のみのアップグレードにはなってしまったが、AES-NI が使えるようになっただけでも良かったのかな。
演算性能はアーキテクチャが同じだからクロック差の分だけ微増という所だろう。
取り敢えず OpenSSL の speed コマンドを用いたパフォーマンスの比較だけみてみる。i3-550 は AES-NI 非対応だからどの位伸びるかなと。
以下、結果の上段が i3-550 で下段が i5-680 となる。
openssl speed aes-128-cbc
version: 3.0.5
built on: Sun Jul 31 15:10:33 2022 UTC
options: bn(64,64)
compiler: gcc -fPIC -pthread -m64 -Wa,--noexecstack -Wall -O3 -DOPENSSL_USE_NODELETE -DL_ENDIAN -DOPENSSL_PIC -DOPENSSL_BUILDING_OPENSSL -DZLIB -DNDEBUG
type 16 bytes 64 bytes 256 bytes 1024 bytes 8192 bytes 16384 bytes
aes-128-cbc 217694.37k 290662.53k 309606.91k 317131.09k 320608.58k 319051.09k = Core i3-550
aes-128-cbc 655161.06k 910258.62k 915210.79k 998700.37k 1001818.79k 1002127.36k = Core i5-680
およそ 3 倍ほどの性能にアップした。別途 EVP エンジンで行っても同様に 3 倍程度の上昇幅だったので割愛した。
これだけ上がれば OpenVPN のスループットも上がってくれるかなと期待出来るところ。
その他普段使いの範囲だと WordPress の管理画面や、テーマの Cocoon 管理機能なんかはレスポンスが若干向上したかなと感じるところ。
数日経てば慣れて気にならなくなってしまう範囲かもしれないが、これはこれで満足しているので問題は無い。
ケース内温度が下降
埃で汚れまくっていたので、全て除去して掃除したことにより動作温度も下がってくれたようで。
こちら CPU 温度。同じ TDP 73W の CPU だから発熱具合も同程度かなと思ったが目に見えて落ちている。
マザーボード上のセンサーが示す温度だと 5~6 度は下がっている。
そして HDD/SSD の温度。これはフロントファンの影響をモロに受けるところなので、吸気が増えた分だけ冷えてくれた感じだ。
連日エアコンで室温は大きく上がらないので、間違い無くエアフロー改善のお陰。
おわりに
10.5 年稼働している鼻毛鯖だが、あと電源ユニットあたりでも交換すればまだまだ行けるのでは…… と思えてしまうほど良い物であると再認識した。
今後も頑張ってこのブログを稼働させていこうかと思う。
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